2年分で3,000円の賃上げ要求/基幹労連

(調査・解析部)

[労使]

鉄鋼や造船重機などの組合で構成する基幹労連(宮園哲郎委員長、24万人)は7~8の両日、静岡県熱海市で討論集会を開き、向こう2年分の賃上げ要求案として3,000円を加盟組合に提起した。一方、機械金属関係労組でつくるJAM(小出幸男会長、39万人)も5~6日に討論集会を開催。こちらは「賃金構造維持分プラス2,000円以上」とする要求案を示した。

賃上げ求める姿勢鮮明に

基幹労連の「AP06春季取り組み基本構想」は、連合やIMF・JC(金属労協)が賃金改善要求を行う方針を打ち出していることを踏まえて、「労働界全体が『生活防衛』から『生活向上』へと運動の基調を変化させてきている」と報告。基本構想では、賃上げ要求を行う姿勢を鮮明にしている。宮園委員長はあいさつで「過去最高益の企業から減収減益、赤字に落ち込んでいるところもある。こういった状況のなかで全体がまとまってやれる水準として、06~07の2年間を一つの単位として3,000円を要求していきたい」などと提案。「要求する以上は必ず結果を出す」と決意表明した。

業績連動方式を取り入れている大手鉄鋼メーカーなどは過去最高益を更新しているため、一時金は大幅に増額される見通し。だが、要求方針は「安定的な労働条件である賃金の納得性を高め各人の士気を向上させることが企業の本質的な競争力を高める」とし、「賃金改善」を職場活力への投資と位置づけるべきだとして、基本賃金への新たな財源投入を訴えている。

統合後初めての統一要求

具体的な要求内容は、鉄鋼部門は35歳標準労働者方式で3,000円、船重(造船重機)部門などは平均方式で3,000円とし、要求方式の違いは認め合うこととした。鉄鋼労連と造船重機労連、非鉄連合が統合して2003年9月に発足した基幹労連は、今回が初めての統一要求。鉄鋼部門としては6年ぶり、船重部門では4年ぶりの賃上げ要求となる。06年と07年の2年分の賃上げを一括要求し、06年4月からの実施を求めていく。

ただし、賃金改善の財源配分の仕方については、各単組の判断に委ねる。全員の賃金を一律に底上げするベースアップだけでなく、賃金カーブの是正や全額仕事給配分、特定の階層への重点配分など、各単組が幅広い観点で検討して要求を組み立てる見込みだ。

JAMは「賃金構造維持分プラス2,000円以上」

一方、JAMは景気回復を背景に、賃金水準の回復と是正を狙う。冒頭あいさつで小出会長は「今年、春闘をやらずして何時やるのか。景気回復の中で全単組が結束して春闘を成功させよう」とよびかけた。

具体的には、賃金構造維持分が確認できる単組は、そこに2,000円以上のプラスアルファ分を上乗せして要求。構造維持分が把握できていない単組は連合同様、4,500円程度を中小企業の構造維持分とし、それに2,000円をプラスした6,500円を平均賃上げ要求基準とする。