少子・高齢化問題など議論/日本経団連と連合の首脳懇談会

(調査・解析部)

[労使]

日本経団連(奥田碩会長)と連合(高木剛会長)の首脳懇談会が8日、東京・大手町の経団連会館で開かれた。少子・高齢化問題や、若年者・パートタイマーなどの雇用問題について意見交換した。経団連側は多様な働き方の実現やワーク・ライフ・バランスの実現に向けた協力を要請。一方、連合はパートの労働条件向上などによって二極化を解消せずに少子化問題は解決できないと強調した。

少子・高齢化問題で経団連側は、人口減少社会に対応していくためには、若年、女性、高齢者、外国人など多様な人材をどう仕事や社会に参画させるかが重要だと指摘。同時に、人材育成によって一人当たりの付加価値生産性を向上させることも重要だと指摘した。特に女性が働きやすい環境を整えることが必要だとし、仕事と生活の調和を図る「ワーク・ライフ・バランス」を提起。そのために労働時間、休暇、勤務場所など労使で柔軟な論議をしようと呼びかけた。

これに対し連合は、男女ともに働きやすい職場環境の整備が必要だと強調するとともに、働く価値を重視しながら子を生み、育てやすい日本に変えていく必要があると主張。その具体策として、次世代育成支援に必要な財源措置を国が講じていくことや、低年齢児に対する保育料の軽減措置、児童手当支給範囲の拡大などを提起した。また連合は、少子化の原因には雇用形態の問題もあると指摘。フリーター・ニート、低時給パートの増加などによる二極化問題を解決しなければ、少子化問題は解決できないとも主張した。

雇用問題については経団連側はまず、雇用情勢が改善しつつあり、人手不足感も高まりつつあるとの認識を示した。しかし、すべての産業がグローバル競争にさらされているにもかかわらず、企業のなかにはまだ旧態依然の人事制度を抱えたところもあると指摘。そのため、個々人を正当に評価し、自分の成長が会社の成長にもつながるような人事制度への転換に向けて努力できる労使関係をめざすべきだと主張した。

またニートやフリーター問題については、生きる力や働く力を高めていく意識づけが必要だとし、学校での対応だけでは限界があるので、地域社会なども含めて取り組んでいく必要があると強調。パートについては負の側面ばかりを強調せずに、働き方や働く場の多様化として労使で取り組むべきだと訴えた。

これに対し連合は、有期労働者の増加は、企業の短期的利益追求の側面も要因ではないかと反論。経営側としても有期労働者の均衡処遇の実現に向けて取り組んでほしいと要請した。