非典型労働者の組織化に意欲/自動車総連大会

(調査・解析部)

[労使]

自動車メーカーの労組などでつくる自動車総連(約68万3,000人)は8日、さいたま市の大宮ソニックシティで大会を開き、パートや契約社員などの非典型労働者を対象に組織拡大を進めていくことを決めた。今後、加盟組織の非典型労働者の就労形態や人数などを把握するとともに、各労連・単組の雇用実態に合わせた組織化方針やアクションプランを策定する構えだ。また大会では、新たに非典型労働者の会費を設定するため規約を改定。一般組合員の総連会費1人月額310円に対し、非典型労働者は低額の月200円にした。

高まる非典型労働者の比率

自動車総連の「2003年組織基本調査」によると、産業内の非典型労働者は6万7,730人で1993年の調査以来、最多を記録。速報対象労組(製造16社、部品65社)による「雇用動向調査」でも、パートや契約社員などの臨時社員の数(2004年12月時点)は4万1,369人を数え、2年前に比べ7割近くも増えている。自動車メーカーは、海外拠点の立ち上げなどに伴う社員の派遣で国内の生産ラインが人員不足に陥っており、非典型労働者が増加傾向にある。非典型労働者の比率は上限に近づいており、職場の安全や品質問題など組合員の負担が高まっているという。

こうした状況を踏まえ、同総連は7月の中央委員会で「非典型労働者の組織化および会費設定の考え方」を確認。「非典型労働者も『同じ職場で働く全ての労働者は、同じ仲間』という認識にたち、組織化の取り組みを推進していく」とした。大会では、非典型労働者の自動車総連会費を月額200円に設定(一般組合員は月310円)する規約改定案を承認。会費納入時期は来年10月からとし、組織化の対象については、パートや契約社員、60歳以降の再雇用者などとし、直接雇用ではない派遣や請負社員は除く。

「組織化の負担は多大」の声も

あいさつした加藤裕治会長はこの問題について、「これまで需給や雇用の調整弁と捉え、組合員として一緒に活動するということは考えなかった。このような雇用形態が今より増加していくことを是とするわけではないが、ともに働く以上、組織化をしていこう」と述べ、「(非典型労働者を)同じ仲間として一緒に様々な悩みを解決していくという考え方を持って欲しい」と訴えた。

質疑では日産労連から「(非典型の組織化は)難易度が高く、単組の負担は時間的・財政的に多大なものになる。例えば総連会費の納入時期を1、2年免除するなどのフォローを検討して欲しい」との要望があった。

75%が賃金カーブ維持分を確保

一方、大会では05春闘の取り組み結果も報告した。自動車総連は2003年以降、統一ベア要求方針に具体的な金額基準を示さず、個々の組合に委ねてきた。05年は「賃金カーブ維持分の確保を前提に、各組合の判断で格差・体系是正や水準向上のためのベースアップ要求を設定する」ことを要求に掲げた。その結果、05春闘でベア要求したのは加盟1,206組合のうち前年(484組合)より159組合増えて643組合となった。前年(135組合)より67組合多い202組合がベアを獲得したほか、596組合がカーブ維持分を確保。賃金についての協定締結済みの109組合を加えると、全加盟組合の75.2%が賃金カーブ維持分を確保できたことになる。逆に、賃金カーブ維持分を割ってしまったのは198組合だった。

加藤会長は「JCにとして上げ幅による共闘から、大くくりの職種賃金に注目した絶対額重視の取り組みによる共闘を検討中だ」と報告。来春闘の賃上げの具体的な基準となる「共闘軸の設定」に積極的に取り組んでいく考えを示した。