共闘軸を「職種別賃金水準の形成」へ/金属労協定期大会

(調査・解析部)

[労使]

金属労協(IMF・JC、200万人)の第44回定期大会が7日、東京・日暮里で開かれ、昨年決めた向こう2年間の運動方針を補強するための2006年度活動方針を決定した。これまでの春闘でJC共闘の軸においてきた「賃上げによる相場形成」から完全に脱皮し、「大くくりの職種別賃金水準の形成」を軸にした新たな共闘の編成を求める「総合プロジェクト会議」の中間報告も採択した。

金属労協は、昨年の定期大会で確認した第2次賃金・労働政策で「大くくり職種別賃金水準の形成」を提起。05年の闘争を、仕事や役割を重視した個別賃金水準の相場形成に向けた第一歩を踏み出すことを最大の課題とした。その結果、各社からは特定職種に対する個別賃金水準の表示という回答が示されるケースも増えてきた。この結果を踏まえた06年度の活動方針では、「『基幹労働者』の銘柄づくりに向けた論議を深める」としており、職種別賃金の前提となる「産業ごとの代表職種における中堅労働者(基幹労働者)」という銘柄固めを進める考えだ。

昨年の大会で設置が決まった金属労協運動のあり方を議論する総合プロジェクト会議では、賃金交渉における「パターンセッター」「相場形成」という従来の共闘効果が限界にきていることから、新たなJC共闘のあり方について、議論を重ねた。大会で提起された「中間報告」では、新たな共闘軸として、従来の「賃金の引き上げ幅」という共闘軸から脱皮。賃金水準の社会的相場形成をめざし、これまでも要求面で個別の賃金絶対額を重視してきた経過を踏まえ、個別賃金の絶対水準形成を軸に共闘を再編成する必要があるとの認識を示した。

あいさつで、古賀伸明議長(電機連合委員長)は、「1年間の議論によって、労働運動全体を牽引できるような運動方向や体制が確立されるよう、最終答申に向けて積極的な議論への参画をお願いしたい」と要請した。金属労協の運動方向として、職種別賃金水準の形成という新たな共闘軸が打ち出されたことになるが、金属労協はその実現目標を「2010年をめど」としている。

大会では、「金属産業がものづくり力を高め、元気を取り戻すためには、魅力ある労働条件が必要だ。06年闘争でJCにはリード役が求められる。積極的な検討を」(基幹労連)といった要望があり、ここ数年続く月例賃金の低下に歯止めをかけるため、積極的な要求論議を求める意見が出された。