育児休業など法を上回る内容での協約改定相次ぐ/大手電機メーカー

(調査・解析部)

[労使]

今春闘で大手電機メーカーでは、ほとんどの労使が改正育児・介護休業法への対応を交渉・協議し、法を上回る内容で労働協約を改定することで、合意に至った。育児休業では、東芝が休業期間を公務員並みの「(子が)3歳に達する月の月末」まで延長することになった。介護休業では、ほとんどのメーカーで取得可能期間が通算1年となり、松下電器やシャープでは、準社員も正社員と同等の条件で休業を取得できるようになった。

4月に改正法施行

改正育児・介護休業法がこの4月から施行される。育児休業に関する改正法の柱は、育休期間の延長。現行の法定休業期間は「子が1歳に達するまで」だが、改正法では、1歳を超えていても保育所に入れないなどの場合に限って「1歳6カ月に達するまで」の休業を可能とする。

一方、介護休業では、取得回数の要件緩和が柱となっている。現行法での取得回数は対象家族一人につき1回で、期間は「連続した3カ月」だが、改正法では、対象家族一人につき、通算93日以内で要介護状態ごとに1回の休業取得を認める。

春闘で協約改定を要求

今春闘で、電機連合に加盟する大手電機メーカーの組合側は、賃金や一時金に関する要求だけでなく、同法の施行に伴う労働協約の改定も、経営側に求めた。具体的には、育児休業期間では法定の「1歳6カ月まで」だけでなく「1歳になってからの3月末まで」も認めるよう求めた。

「1歳6カ月まで」の期間延長だけでは、4~9月生まれの子を持つ社員が1年を超えて育休を取得したい場合、依然として休業終了時点と保育所入所(次年度の4月)とが接続しないケースがあるためだ。

改正法を上回る内容で合意

松下電器では、一定の事情があれば「1歳になってからの4月」または「1歳6カ月まで」のいずれかの長い方を取得できるようにするよう、組合側が協議を求め、組合の主張どおり協約を改定することで合意した。3月ではなく4月まで取得できるよう組合が要求したのは、保育所入所早々のいわゆる「ならし保育」に伴って欠勤せざるをえなくなる社員に配慮してのことだ。

東芝では、それまでは「1歳になってからの4月末日」だったが、組合側が一気に公務員並みの「3歳に達する月の月末」まで延長するよう求め、会社もこれを受け入れた。富士通では、組合側の要求どおりとなり、「1歳の4月20日」か「1歳6カ月」の長い方を取得できるようになった。日立製作所や三菱電機などは今春闘前から法内容を上回る協約を整備済みで、これにより育児休業期間については、電機連合の17中闘組合の大手メーカーすべてが法を上回る協約を整備することになった。

介護休業の期間延長も

一方、介護休業では、通算期間について法を大幅に上回る1年(365日)とするよう組合側が求め、松下電器、東芝、NECなどが通算1年(365日)で合意した。その結果、介護休業期間も育休期間と同様、すでに達成ずみの日立、三洋電機などを含め、17メーカーすべてが法を上回る協約を整備することとなった。

このほか、松下電器、三洋電機、シャープでは、「定時準社員」などと呼ばれる非正規社員に対しても、正社員と同等の条件で育児・介護休業を取得できるようにした。