「業績反映を一時金に」の傾向強まる/JC集中回答

(調査・解析部)

[労使]

金属労協(IMF・JC)に加盟する自動車、電機、鉄鋼など大手労組の春闘要求に対し、経営側は16日、一斉回答した。電機や自動車の一部など大手メーカーの多くで成果主義的な賃金体系への移行が進んでおり、大手労組はベースアップの統一要求を見送り、業績反映を一時金に求める傾向がさらに強まっている。

業績好調な自動車メーカーでは、トヨタの244万円(組合員平均)を筆頭に日産やマツダなどが昨年実績を上回ったほか、経営再建中の三菱自動車も満額回答を獲得。業績見通しを下方修正している電機大手各社も、上期のデジタル家電の収益が好材料となって大手メーカーすべてで現行賃金体系の維持を果たし、一時金も日立製作所や三菱電機など交渉を行った7労組中6労組で前年実績を上回った。

複数年協定の中間年にあたる鉄鋼業界も、大手で唯一、一時金交渉を行った住友金属工業が前年実績を32万円上回る182万円(39歳21年勤続方式)で妥結。業績連動型の新日本製鐵やJFEスチールなども過去最高額となる見通しだ。

なお、造船重機の一時金は、船価の低迷と資材の高騰が影響し、最大手の三菱重工が3.5カ月+50万円の要求に対し、3.5カ月+45万円で妥結するなど苦戦を強いられた。

一方、連合の笹森清会長は同日、記者会見し、大手メーカーの一斉回答などの状況について「昨年を上回る答えにつながる回答を引き出したと評価したい」などと述べた。