日立5.2カ月、シャープは5.4カ月の一時金を要求/電機メーカーの要求出揃う

(調査・解析部)

[労使]

電機連合(古賀伸明委員長)に加盟する日立製作所、松下電器など大手電機メーカーの各労働組合は17日までに、現行賃金水準の維持を柱とする要求書を経営側に提出した。組合側は4年連続で統一ベア要求を見送ったが、一時金では業績回復を背景に、昨年以上の水準の獲得をめざす姿勢をみせている。日立製作所は4年ぶりに要求水準を5カ月台に乗せ、昨年実績比0.55カ月増の5.2カ月を要求。シャープは同0.23カ月増の5.4カ月を要求した。

電機連合に加盟する大手電機メーカーの17労組は、今年も統一的なベア要求を見送った。かわりに賃金関係では、30歳事務技術職、または35歳技能職の個別ポイントを各労組が独自の判断で選んだうえで、同ポイントの現行賃金水準の維持を経営側に要求。松下電器、東芝、富士通、NECなどは30歳ポイントを、一方、日立製作所、三菱電機などは35歳ポイントを選んだ。

一時金は、大手メーカー17社では半数以上の組合が業績に応じて自動的に一時金水準が決まる業績連動型方式を採用しているため、労使交渉するのは日立製作所、三菱電機、シャープ、富士電機グループ、明電舎など7労組のみ。業績回復を踏まえて、すべての組合が、昨年実績以上もしくは実績並みの要求を掲げている。日立、シャープ以外の具体的な要求月数は、三菱電機が昨年実績比0.75カ月増の5.2カ月、富士電機グループが同0.76カ月増の5カ月、明電舎が同0.5カ月増の4.5カ月などとなっている。

一方、労働協約関係の組合側の要求項目で目玉といえるのは、今年4月から施行される改正育児・介護休業法に対応する協約改定だ。同法は現行の育児休業期間(1歳まで)を延長し、子が保育所に入所できないなどの場合に限って、1歳6カ月に達するまでの休業を可能とする内容。ただ、同法による期間延長だけでは、4~9月生まれの子を持つ社員が育児休業を1年を超えて取得する場合は、依然として休業終了時点と保育所入所(次年度の4月)とを接続させることができない。

そのため電機連合では、育児休業取得期間として、法定の「1歳6カ月」だけでなく、「子が1歳になってからの3月末日まで」も労働協約のなかで認めるようにすることを統一要求に設定。富士通、NECなどはこれを要求書のなかに盛り込んだ。松下電器や三洋電機などは、労使でつくる専門委員会で交渉期間中に労使協議する。

電機連合の古賀伸明委員長は21日に開いた中央闘争委員会の初会合で、「2004年度の業績見通しを下方修正したとはいえ、前年に比べれば回復・改善している企業は多くある。組合員の懸命な努力に報い、魅力ある電機産業とするためにも、一時金では徹底的に水準確保に向けた取り組みを展開しよう」と呼びかけた。

なお、新潟県中越地震で経営に打撃を受けている三洋電機の労組は同委員会のなかで、地震の影響はあるものの、電機連合の方針に沿って取り組みたいとの意向を表明した。