4年連続でベア要求見送り/電機連合中央委員会

(調査・解析部)

[労使]

電機連合(古賀伸明委員長)は1月27日から2日間、横浜市で中央委員会を開催し、統一的なベア要求の設定を4年連続で見送る方針を確認した。古賀委員長はあいさつで、「実質賃金、国民経済、賃金の社会性、産業・企業業績を総合的に勘案し、統一してベースアップを要求する環境にはないと判断した」と述べた。

大手電機メーカーの今期の連結決算は、新潟県中越地震で子会社が営業停止に追い込まれた三洋電機などを除き、昨年に比べて改善する見通し。しかし、古賀委員長は、昨秋以降のデジタル家電の在庫増や価格下落などで電機産業を取り巻く環境は極めて不透明感が強まっており、業種間・企業間の業績のバラツキは依然として大きいと指摘。業績が回復・改善している組合については「一時金獲得に積極的に取り組んでいく」と述べた。

ベア要求を見送るため、各組合は、30歳事務技術職または35歳技能職の個別ポイントで「賃金体系の維持」に取り組む。一時金は「年間5カ月を中心」に各組合が要求を組み立てる。大手のなかでは業績連動方式を採用していない日立製作所、三菱電機、シャープなど7組合が、経営側との交渉によって一時金水準を決める。

今春闘ではまた、「職場要員がぎりぎりの状態となっているために、労働の過密化やコミュニケーション不足を引き起こしている職場もある」(古賀委員長)ことから、総実労働時間の短縮と時間管理の適正化も経営側に強く求める。昨年の春闘で労使協議の場を設置した次世代育成支援対策法に関しても、継続して具体的な取り組みを進める方針だ。

闘争方針の討議では大手組合から、一時金について、昨年よりも高い水準を要求するとの意見表明が相次いだ。日立製作所労組の根津和吉委員長は、「このままだと過去最高益の自動車や鉄鋼との格差が拡大するのは必然で、無策に甘んじれば将来の電機産業は疲弊する。優秀な人材確保のためにも産業間格差の是正が必要だ」と訴え、昨年の要求月数(5.0カ月)を上回り、4年ぶりに5カ月を超える水準となる5.2カ月を掲げる方針を固めていると表明。三菱電機労組の石原康則委員長も、「前年要求月数(5.0カ月)に上乗せして要求したい」と続いた。

中央委員会ではこのほか、労働者派遣法が改正され、過半数労働組合への通知・意見聴取規定が新設されたことなどから、新たな「派遣労働者の権利保護ガイドライン」を確認。また、組合員が万が一、失業してしまった場合の再就職支援策などもあわせて打ち出した。

電機連合傘下の組合は2月17日までに経営側に要求提出する。