積極的にベア要求の設定を/自動車総連が今春闘の要求基準決める

(調査・解析部)

[労使]

自動車総連(加藤裕治会長)は13日、大阪市で中央委員会を開き、今春闘の賃上げ要求基準を決めた。要求基準は昨年に引き続き、賃金カーブ維持分確保を大前提に位置づけ、ベアについては要求するかどうかを含めて各組合の主体的な判断に委ねた。ただ、今期は企業業績が昨年以上に好調で、好業績が中小組合を含めた部品部門にも波及し始めていることなどから、ベア要求のトーン自体は昨年以上に強いものとなっている。

海外での生産・販売が好調なことから、自動車メーカーの2004年度業績は大半が連結ベースで増収増益を見込んでいる。また収益の改善傾向は中小を含めた部品メーカーにも波及し始めているという。

自動車総連は今春闘に臨むにあたって、「非典型労働者が増加する一方で市場ニーズに対応するためのフレキシブルな生産が求められるなか、品質の確保や高いレベルの原価低減を実現している」と強調。「労働の質が高まっているのは明らかだ」(近藤治郎事務局次長)として、昨年以上にベア要求に積極的な姿勢を示したのが今年の要求基準の特徴だ。

具体的な要求基準は、「平均賃金引き上げ」と「個別ポイントの絶対水準要求」を併記で掲げた。平均賃上げでは、昨年までの「賃金カーブ維持分+アルファ」との表記方法を廃し、今年は「賃金カーブ維持分確保を大前提とし、各組合は格差・体系是正や水準向上に向け、積極的にベースアップ分を設定する」と文言で表した。

文言での表記に変えた理由について加藤会長は「(ベアに積極的に取り組むとする)総連全体としての意思を確認する意味」と話し、近藤事務局次長は「極力多くの組合にベアに取り組んでほしいとの意思を込めた」と説明。加藤会長は昨年のベア要求組合数484組合(獲得は122組合)以上の組合がベアに取り組むことを期待したいと話した。

個別ポイント絶対水準での要求では「現行のポイント賃金(35歳・高卒・勤続17年・技能職・4人世帯)水準を維持した上で、各組合は格差・体系是正や水準向上に向け、積極的にベースアップ分を設定する」とした。自動車総連は平均賃上げよりも個別ポイント要求の方が賃金格差の是正により有効だとして、今後も個別ポイント要求に力を入れる方針。メーカー12組合は2月16日に一斉に要求を提出する。