「ベアは毎年必要」との考え方、変えず/自動車総連定期大会

(調査・解析部)

[労使]

自動車総連(加藤裕治会長、約69万人)は7、8の両日、東京都内で定期大会を開き、向こう2年間の新運動方針を決定した。方針は重点課題として、他産業よりも長い総実労働時間の短縮や、個別賃金要求方式を重視した取り組みなどを据えた。大手メーカー組合では、来年春の賃上げ交渉で「技能職中堅労働者」(中堅技能職)を要求銘柄に設定できるよう、検討を継続する。

新運動方針の柱のまず1つは、労働時間に関する取り組み。自動車産業では、所定外労働の恒常化もあり、総労働時間がここ数年、ほぼ2,100時間で推移し、最近はさらに長時間化する傾向にある。そのため、総労働時間の短縮に向け、各組合が年間1,800時間を念頭におき、年次有給休暇の取得促進や所定外労働時間の削減に積極的に取り組む。また、労働基準法第36条で定める「36協定」の締結時の労使協議を重視し、協定の運用も強化する。

賃金では、産業内外の賃金格差の是正をしやすくするため、組織全体で個別賃金要求方式を主体とした取り組みを進める。個別賃金要求方式とは、年齢や職種など特定のポイント(労働者銘柄)に該当する労働者の賃金水準の改定を要求する方式。現在の自動車総連の賃上げ要求方式は、組合員平均での引き上げ額を示す平均賃上げ方式が主体となっている。大手11メーカーの組合では、いち早く「仕事」や「役割」を基軸とした個別賃金要求方式に移行できるよう、「技能職中堅労働者」を銘柄とした要求方式の検討を引き続き進める。

来年春の賃上げ交渉に向けた方針は来年1月に開く中央委員会で決定するものの、加藤会長は大会あいさつのなかで「ベアは毎年必要だとする考え方は来年も変わらない。産業にふさわしい水準、格差を縮めるためにも必要だ」と述べ、産別としてベア要求方針を掲げる意向であることを早々と示した。

役員改選が行われ、加藤会長、萩原克彦事務局長は再選された。