社会保障改革などで認識一致/連合と日本経団連のトップが懇談

(調査・解析部)

[労使]

連合(笹森清会長)と日本経団連(奥田碩会長)は7日、東京・大手町の経団連会館で、昨年12月以来となる首脳懇談を開いた。社会保障や若年雇用、現場での安全や技能形成の問題などを中心に話し合った。社会保障や現場の安全・技術形成などの課題に対しては、労使が協力して取り組んでいくことで認識が一致した。

冒頭、あいさつした笹森会長は社会保障改革について、7月に発足した政労使の有識者懇談会を踏まえ、「この機を生かして労使が協力して抜本的な改革を実現したい」と発言。現場で事故や不祥事が相次いでいることについては「経営側が万全の措置をとる必要がある。行き過ぎたリストラで安全管理がおろそかにならないようにすべきだ」と注文をつけた。雇用については「短期的な利益追求に走りすぎていることが、不払い残業や過労死、メンタルヘルスの問題などに繋がっているのではないか」と指摘した。

一方、奥田会長は、少子高齢化は将来の日本の成長を占う最も大事な問題との認識を示した上で、「雇用では若年、高齢者、女性、外国人と課題が山積していることから新規雇用創出にどんな方策があるかチャレンジしていかなくてはいけない」と発言。また、科学技術の進歩と今後の雇用について問題提起し、いまから労使で議論を開始すべきではないか、などと提案した。

それぞれの副会長などを交えた懇談では、連合からは「雇用では外国人労働者に先だって、若年や中高年の問題を議論すべき。ものづくりでは日本人の働く場を確保すべきだ」、「能力開発でも選択と集中が進みすぎではないか。職場からはOJT(仕事を通じての研修)が機能していないとの声が聞かれる。成果主義の行き過ぎではないか」などの意見が出された。

一方、これに対して経団連側からは「高齢者の活用は大事だが、制約があるのも事実。外国人労働者の問題も併行して考えていかないといけないのでは」、「高度な技能をもった人材が育っていないことについては過度の成果主義の影響もあるかもしれない。経営者はもっと現場を知る必要がある」、「国際競争で生き延び、雇用を守るにはやはり現場力が必要で、経営者が現場に立てという意見はまったくそのとおり。一方、人件費の高さが問題であり、経営としては常にコストダウンを考えざるをえない」といった意見のほか、環境税の導入に反対する意見などが出された。

懇談の最後に奥田会長は、設備の老朽化への対応が今後必要になってくるとの認識を示したうえで、「このコストが人件費に影響してくることがあるかもしれない」と理解を求めた。笹森会長は「人件費への影響は絶対困るが、労働時間や働き方でなら対応を話し合いたい」などと答えた。