JR不採用問題は政治解決で/国労定期大会

(調査・解析部)

[労使]

国労(酒田充委員長、2万人)は8月26、27両日、静岡県熱海市で第72回定期大会を開催した。大会は、JR不採用問題については、国家賠償訴訟の可能性を示唆しながらも、当面は今年6月に新たに出された6度目のILO(国際労働機関)勧告を軸に、大衆行動を展開し、政府の責任で早期の政治解決をはかるとする、向こう一年間の運動方針を確認した。

JR不採用問題は、昨年12月22日の最高裁判決により、JRに使用者責任がないことが確定しているが、国労は、JR不採用事件にかかわる不当労働行為自体については、いまだ未解決問題であるとの立場を崩していない。今年6月にはILOが、最高裁判決に留意しつつ、「深刻な社会的・経済的影響を考慮し、政治的・人道的見地に立った話し合いを全ての関係当事者間で勧める」などとする6度目の勧告を出している。

酒田委員長は、あいさつのなかで、ILO勧告を評価し、「そもそも本件は、『国鉄改革』という政府の施策の推進過程で惹起しただけに、政府及び政治の責任で解決をはかるべき」との基本方針を主張する一方で、政治解決が困難であれば新たな訴訟を提起するとの姿勢も示した。しかし、「訴訟は時効等の法律も念頭におきつつ万策つきた時の最後の手段」であることも強調。「政治・行政対策などまだまだやるべきことは多くあり、政治解決に全力をあげる」などとして、当面は、政府、政党、国会議員などへの要請行動や、世論喚起を図るための大衆運動を展開するとしている。

大会では、「JR不採用事件に関する国労基本要求」についても確認した。具体的には、 (1) JR各社及びJR関連企業などに希望する者の雇用確保 (2) JR各社に採用されていたならば得たであろう賃金及び退職金相当額の支払い (3) JR各社に採用されていたならば継続されていたであろう厚生年金の回復――など5項目の解決要求をあげている。