政労使の社会保障協議会、参院選後に設置へ/産労懇

(調査・解析部)

[労使]

産業労働懇話会(厚労相の私的諮問機関)の第229回会合が16日、都内のホテルで開催された。小泉純一郎首相が設置を言明していた社会保障制度の抜本改革を検討する政労使協議の場について、坂口力厚生労働大臣は7月の参院選後になるのではないかとの見通しを語った。

同懇話会が開かれたのは約1年9カ月ぶり。今回は、「少子・高齢化時代における雇用その他の諸問題」をテーマに懇談した。

懇談では、社会保障制度の抜本的な見直しを検討する政労使機関の設置に対する政府の姿勢が焦点になった。労働側委員は、「年金・介護・医療制度の一体的な改革のための検討の場について提起してほしい」と行政側に要請。経営側委員からも同調する意見が出された。これに対して坂口大臣は、設置は参院選後との見通しを示したが、協議機関の位置づけなど具体的な内容は示さなかった。

また、冒頭のあいさつで坂口大臣は、少子高齢化による労働力人口の減少に備えるための今後10年間の雇用戦略を披露した。現在の労働力人口6670万人は、雇用促進策をなにも講じなかった場合、2015年には現在より370万人減少し、6300万になると推計。しかし、 (1) 継続雇用制度の義務化などによる「65歳まで働ける社会の構築」(約160万人増) (2) 育児により労働市場を離れた人の早期復帰を支援することなどによる「仕事と家庭の両立支援」(約100万人増) (3) 日本版デュアルシステムによる能力開発などを通じた「若年者が活躍できる環境の整備」(約50万人増)――といった高齢者、女性、若年3分野の雇用促進策を増強させれば、300万人の労働力人口の増加が見込まれることから、マイナス幅は70万人まで圧縮できると推計している。

出席者は以下の通り。

労働側=石川正幸(全逓委員長)、小野寺良(情報労連委員長)、草野忠義(連合事務局長)古賀伸明(電機連合委員長)、桜田高明(サービス・流通連合会長)、笹森清(連合会長)人見一夫(連合会長代行/自治労委員長)、山野俊次(私鉄総連委員長)。

経営側=石川忠(全国中小企業団体中央会会長/富士精版印刷代表取締役社長)、岡田茂(東映相談役)、奥田硯(日本経団連会長/トヨタ自動車代表取締役社長)、坂口美代子(坂口電熱代表取締役社長)、三木繁光(東京三菱銀行頭取)、矢野弘典(日本経団連専務理事)、山口信夫(日本商工会議所会頭/旭化成代表取締役会長)。

公益側=老川祥一(読売新聞大阪本社専務取締役編集担当)、佐野陽子(嘉悦大学学長)、菅野和夫(前東京大学法学政治学科研究科長)、曾野綾子(作家/日本財団会長)、吉川洋(東京大学大学院経済学研究科教授)、宮崎勇(大和総研特別顧問(座長))。