組合費引き下げなど組織・財政を改革/全郵政大会

(調査・解析部)

[労使]

全郵政(橋爪利昭紀委員長、8万7000人)は16日から3日間、広島市で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を決めた。方針は、昨年の大会で決めた「21世紀における全郵政運動の新たな指針」に基づき、 (1) 運動の重点を福祉型にシフトするための活動方針 (2) 組合費の引下げや専従役員配置の見直しなど組織・財政改革――を盛り込んでいる。

橋爪委員長はあいさつのなかで、経済財政諮問会議が4月に07年から段階的に民営化し、5~10年程度の移行期間を経て最終的に実現するとした『郵政民営化に関する論点整理』をまとめ、政府も「郵政民営化準備室」を正式に発足させたことに触れて、「まず、このような『民営化ありきの議論』には、明確に反対の意を表したい」と、政府の動向を批判。そのうえで、「中期経営計画の第一期の結果も見ずして民営化論議をすすめることは、私たちの努力に水を差すばかりか、あまりにも理不尽だ」などと述べ、郵政民営化に反対する姿勢を改めて強調した。こうした動向を踏まえ、組合としては雇用を守る観点から、郵政事業の民営化問題に限り、全逓との間に4月、『労組政策協議会』を立ち上げたと報告。対案づくりや政界対策などについては、協議会を軸に進める考えを示した。

大会では、福祉型運動の充実をめざす活動方針として、ボランティア活動の推進、情報通信技術(IT)を活用したコミュニケーションの展開、福利厚生の充実などに取り組むことを決めた。また、組織・財政改革では、 (1) 組合費は、中央本部組合費と地方本部費を一元化して「本部費」とし、定額で4,200円とする(現行より単純平均で670円の大幅な引き下げ) (2) 新たに南関東地本を加え12地本体制とする一方、専従定数は削減する――ことも確認した。

このほか大会では、今春闘で初めて中央労働委員会の仲裁裁定によらず、賃金交渉を自主決着したことを踏まえ、今後もこの自主決着路線を基本に、「基本給と手当改善の一括要求」「総人件費(管理者含む)の改善」を視野に入れた要求・交渉のあり方と民間賃金の反映方法を、労使間で協議していくことも決めた。

役員改選では、委員長に宮下彰氏(信越地本・新任)、副委員長に水木芳徳氏(東海地本・再任)、書記長に山口義和氏(近畿地本・新任)を選任した。