年金抜本改革は労使を含む協議の場で/連合中央委

(調査・解析部)

[労使]

連合(笹森清会長)は6月1日、都内で中央委員会を開催した。笹森会長はあいさつの中で、先の政労会見で確認した労使を含めた協議の場の設置など、年金問題に対する連合の対応について説明。協議を通じて「社会保障制度の真の改革を目指す」として構成組織に理解を求めた。

笹森会長はあいさつで、政府の年金関連法案について「成立、廃案いずれにしても、抜本改革をしなければ真に国民のための制度にはならない」と指摘。「我々の運動は『政府案反対』『改悪、絶対阻止』などと国会行動や街宣行動をやるだけで事足りる時代ではない」と述べ、4月26日と5月21日の2回の小泉純一郎内閣総理大臣との会見で確認した「真の社会保障制度改革に向けた労使代表やさまざまな立場の代表を加えた協議の場」の早急な設置をめざす考えを示した。そのうえで、「連合主導により開いた改革の道を、時間をかけてでも着実に進める。困難が予想されるが、我々の求める社会保障制度の抜本改革を必ず実現させる」と強調。政府案が成立した場合に、国民負担率が約15%になることが予想される2007年3月をタイムリミットと捉え、それまでに税制も含めた抜本見直しを政府に求める考えだ。

論議では、「衆院での年金法案の撤回が厳しくなった中での政労使の協議の場の設置を決めたことを評価したい」(サービス・流通連合)など政労会見の成果を評価する意見がある一方で、「現場で政府案を廃案に追い込むとしているのに『廃案だけでは事足りない』と言われても困る」(基幹労連)、「政府案の撤回で署名活動やカンパなど世論の形成に取り組んできた。大衆行動で廃案にさせる気構えを持って欲しい」(全国一般)など、「これまでの廃案の運動と矛盾する」との指摘もあった。年金問題について連合は、抜本改革をめざす基本方針は変わらないものの、法案審議の動向と政労会見の成果を踏まえた若干の軌道修正を加えてきた。こうした本部対応に加盟組織の大半は理解を示しつつも、廃案を求めて運動を進めてきた現場の抵抗感が表れた格好だ。

また、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)をめぐる汚職事件で、収賄罪で起訴された加藤勝敏被告(元連合副会長)の処分を決める統制委員会も設置した。中医協問題では、委員を務めるUIゼンセン同盟副会長の吉高弘氏の品物授受も発覚している。UIゼンセン同盟は、5月31日に緊急三役会議を開いて、 (1) 吉高氏を解任。近く連合などの上部団体や関係団体の全役職を辞任させ、UIゼンセン同盟職員としても解雇する (2) UIゼンセン同盟から国の審議会委員などに就任している人間をすべて辞任させる (3) 会長、書記長ら役員を減給処分にする――などの組織対応を決めたことを報告した。

このほか、2005年度「連合の重点政策」や今春闘の「中間まとめ」なども確認。中間まとめでは、今春闘で初めて中小・地場組合向けの要求目安額5,200円を掲げたことに言及。共闘強化による大手との格差圧縮が図れたなどと評価する一方、パート労働者の賃上げやサービス残業問題への取り組みが不十分だったとして、今後の課題に掲げた。役員補充選挙では、今委員会で退任した榊原長一会長代行(日教組顧問)の後任に自治労委員長の人見一夫氏を選んだ。