「民営化ありき」に反対/全逓・全郵政が見解

(調査・解析部)

[労使]

政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)が26日、「郵政民営化に関する論点整理」(中間報告)を発表したことを受け、全逓、全郵政の両組合でつくる「郵政事業に関する労組政策協議会」は同日夜、共同見解を明らかにした。

それによると中間報告が、郵政事業は07年から段階的に民営化し、5~10年程度の移行期間を経て最終的な姿を実現するとし、また政府が、「郵政民営化準備室」を正式に発足させたことなどについて、「このような民営化を前提とした議論の進行に強い憤りをおぼえる」と批判。公社の初年度決算の数値も明らかになっていない段階で、民営化をめざす中間報告が出されたことに対し、「郵政事業に働くものにとって、今回の民営化議論はあまりにも理不尽・無責任であり、現在懸命にとりくんでいる経営努力に水を差すもの」と強く非難している。

また中間報告が、民営化会社のビジネスモデルに言及しなかったことに触れて、「敢えてその矛盾点が明らかになることを避けたからに他ならない」と指摘。「私たちは民営化を美化する言葉だけを並べ、国民・利用者への『痛み』を隠して既成事実化をはかろうとする政治手法に強く異議を唱える」とし、組織形態や雇用など基本的な問題を先送りする形で、民営化論が一人歩きしていることに反発を強めている。

そのうえで、見解は「郵便局ネットワークとユニバーサル・サービスは国民生活にとって不可欠なセーフティネットであり、それは公共性と企業性を両立させようとする『公社形態』によってもっとも効率的に、かつ安定的に提供できる」とし、「今は郵政公社の経営改革を進め、自律的・弾力的で健全な企業体とすることが何よりも優先すべき課題だ」との姿勢を表明。改めて「郵政事業の『民営化ありき』の議論に反対」の立場を強調している。

経済財政諮問会議は今秋、最終報告をまとめる一方、郵政民営化準備室も関連法案の法制化作業を急ぐとみられている。「郵政事業に関する労組政策協議会」は、こうした状況に共同して対応するため、両組合が10日に立ち上げた。