加藤副会長を解任/連合

(調査・解析部)

[労使]

診療報酬の引き上げをめぐる贈収賄事件で、連合の笹森清会長は15日記者会見し、収賄容疑で逮捕された加藤勝敏副会長を同日付で解任すると発表した。加藤容疑者が務めている中央社会保険医療協議会(中医協)や中央環境審議会などの公職についても辞任の手続きを取る。会見に先立ち、開催した臨時三役会議と中央執行委員会で決定、確認した。

冒頭、笹森会長は「容疑は個人的な問題で組織的な関与はなかったとは思うが、連合として委員を選出した責任があり、国民や組合員にご迷惑をかけ、混乱を招いたことを心から深くお詫びしたい」と謝罪した。連合は平成13年からの中医協の議事録(概要)をチェック。中医協が公開の協議会であることも踏まえて調査した結果、「発言が左右されたような事実は考えられない」との認識も示した。

また、笹森会長は、加藤容疑者が同日接見した弁護士に対し「取り調べで金品の授受は認めたが、(中医協の中で日本歯科医師会側を有利にする)意図で発言したことはなく、委員としての信念を持って発言してきた」と話していたことを明らかにした。すべての役職についても、自ら辞任を申し出たという。

連合は国の審議会や部会などの委員を延べ約200人選出しており、今月中に全委員から審議会等のやりとりについて事情聴取を行い、再発防止を徹底する考え。加藤容疑者が出席した中医協の議事録(全文)についても詳細を検討していくという。6月の中央委員会では統制委員会を設置。改めてこの問題の処分を決める方針だ。

審議会などの委員について連合では、関連する分野の産別に所属している人や、専門知識を有している人など、比較的柔軟に委員を選んでおり、規定等の明確なルールがあるわけではない。今後、委員の選出方法についても、一定の整理を迫られる可能性もありそうだ。

なお、加藤容疑者が会長を務めていた日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)も同日、連合の決定を受けて緊急の中央執行委員会を開催。「会長の辞任表明を受け入れるが、収賄容疑は社会に対する許されない背信行為であり、その社会的責任は極めて重い」などとする見解を発表。同容疑者の会長職を解任することを明らかにした。21日の中央執行委員会で副会長の中から会長代理を選出し、当面の運営を行っていく。