NGOが賃金など男女間格差の是正で府省に要請

(調査・解析部)

[労使]

働く女性のために活動するNGO(非政府組織)、「ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク」(正路怜子会長)は12日、厚生労働省など4府省と懇談し、最近の国連・CEDAW(国連女子差別撤廃委員会)勧告や住友電工裁判の和解勧告を踏まえて男女平等に向けた取り組みを要請した。

国連・CEDAWは昨夏、日本政府に対し、「コース別雇用管理制度に表れるような水平・垂直的な雇用分離から生じる男女間の賃金格差、雇用機会均等法に関連するガイドラインに示されている間接差別の慣行と影響について認識不足に懸念する」として、同ガイドラインの改正などを勧告した。

住友電工裁判は昨年末、大阪高裁(井垣敏生裁判長)で、原告2人の昇格と各500万円の解決金支払いなどで和解が成立。勧告には「…現在においては、直接的な差別のみならず、間接的な差別についても十分な配慮が求められている」との一文も盛り込まれ、CEDAW勧告が追い風になったともみられている。

12日の懇談で、WWNは (1) 同法指針における「雇用管理区分ごとに」の改正 (2) 間接差別禁止の国内法での定義 (3) 女子差別撤廃条約の選択議定書の早期批准 (4) コース転換制度の見直し (5) ポジティブアクションの行政指導 (6) 裁判官へのジェンダー教育――などを、内閣府、厚生労働省、外務省、法務省に要請した。

WWNによると、それに対し各府省は、「間接差別の判断基準については、諸外国の状況などを男女雇用均等政策研究会で検討しているところ。報告がまとまれば雇用均等分科会を経て、指針あるいは法の改正にも至る見込み」「選択議定書については、外務省人権人道課主催の研究会で引き続き検討している」「裁判官の教育は最高裁が責任を負っており、介入は司法の独立を侵す恐れがあるという意見もある」――などと回答した。