電機メーカーの交渉状況を報告/電機連合中闘委

(調査・解析部)

[労使]

電機連合の加盟組合が交渉状況を報告する中央闘争委員会の初会合が23日、都内の本部で開かれた。松下電器労組、東芝労組などが、第1回交渉での経営側の主張点などを報告した。

20日に初交渉をもった松下電器では、組合側が会社側に対し、「全社の業績は着実に回復を辿っており、この回復基調を確かなものにするためには組合員の意志結集と具体行動は不可欠だ」などと主張。これに対して会社側は、「03年度で業績を上方修正したものの、引き続き厳しい経営環境が見込まれ、窮地を脱したとはいえ危機が続く状況に変わりはない」と経営環境に対する厳しい見解を示したうえで、「現行の賃金水準の高さは国際競争の観点から課題があると認識している。社会保障負担増もあり、組合の主張には慎重な対応が必要だ」と述べ、ベアを見送る一方で賃金カーブ維持を求める組合を牽制した。

東芝では、18日の要求提出時に組合側が「最大限の協力・努力を行っている組合員の今次業績への期待はきわめて大きく、業績のより確実な復活へ向けたさらなるモラールアップにつながる交渉としたい」と会社側に呼びかけると、会社側は、「業績が確かなものになっていない中、収益構造の抜本回復が第一だ」と回復半ばのスタンスを強調したうえで、「コスト増につながる要求には軽々に応じられない」と反論した。

NECでは、19日の要求提出時に組合側が「モラール、労使の信頼関係の維持をテコに、業績回復をさらに確かなものする新たな成長に挑戦するためには、新人事制度の着実な実施と適切な運営が重要だ」と主張。また、仕事と家庭の両立支援策などの労働協約項目について、総合的な見直しに向けた論議を要請した。会社側は、「03年度危機からの脱却を宣言するためには、第4四半期と04年度での新たな成長が必要で、要求には慎重な対応が必要だ」と主張したうえで、協約項目について「すでに先駆的な取り組みをしている。これ以上の取り組みが必要かよく検討したい」とした。

中闘委員会であいさつした電機連合の古賀伸明委員長は、「2極分化はあるにしても04年3月期の経常利益は全体で前年に比べ2.8倍の見通し。懸命な努力をしてきた組合員の期待に応えるためにも一時金アップの交渉展開をお願いする」と要請。協約項目に関しては3月5日までに交渉を進展させるよう指示した。