日産、ヤマハがベア1,000円要求/自動車メーカー労組が要求提出

(2004年2月20日調査部)

[労使]

今春の労使交渉に臨む自動車大手メーカーの各労働組合は18日、一斉に要求提出した。賃上げでは日産労組とヤマハ発動機労組がベア1,000円を要求。トップメーカーのトヨタ自動車労組は2年連続でベア要求を見送った。

大手メーカー11組合のうち、ベア要求に踏み切ったのは日産労組とヤマハ労組の2組合だけ。日産労組はベア1,000円を含む7,000円(組合員平均、以下同じ)を要求。要求額は昨年と一緒だ。ヤマハ労組も、賃金カーブ維持分のほかに、ベア1,000円を要求。ベア要求は2年ぶりとなる。

日産労組はここ2年間、いずれの年も経営側からベア1,000円の満額回答をうけており、今年もベア要求することで、業績悪化時についたトヨタ、ホンダなどとの賃金格差是正を狙う。主力の2輪でアジア向けが好調のヤマハは2004年3月期の連結決算で、売上高、営業利益、経常利益などがそれぞれ過去最高を更新する見込み。ただ、ヤマハ労組は今回のベアを「賃金水準向上分」とし、成果反映よりは賃金の絶対額水準回復のためのベアと位置づけている。

トヨタ労組は2年連続でベア要求を断念し、「賃金制度維持分」のみの要求となっている。トヨタは2004年3月期で、純利益(連結)でも1兆円を突破する見込み。しかし、経営側は、ここ数年の労使交渉で賃上げによる国際競争力の低下に強い懸念を示してきた。トヨタ労組は02春闘でベアゼロ回答をうけている。今回のベア要求見送りで、3年連続のベアなしが確定した。

本田労組も、連結経常利益で過去最高を更新する見通しだが、昨年に続きベア要求せず。その代わり年間一時金では、過去最高水準の6.6カ月と強気の要求を立てている。

一時金は大手メーカー11組合のうち、6組合が昨年に比べ要求増、5組合が同水準で、要求減1組合となった。

自動車総連の加藤裕治会長は、各組合が要求提出を終えた18日の午後、記者会見した。産別の要求基準として、ベア要求するかどうかを各組合の判断にゆだねた結果、要求した組合が2組合だけとなったことについて加藤会長は、「たいへん残念に思っている。メーカーではおおむね業績が良く、産別としても多くの組合が取り組んで欲しいとの強い気持ちで議論してきたが、それぞれの事情で2組合にとどまることになった」と語った。

※自動車大手メーカー、各組合の要求内容