笹森会長が再選-連合の第8回定期大会

(調査・解析部)

[労使]

連合(笹森清会長、約683万人)は2、3の両日、東京・新宿の厚生年金会館で第8回定期大会を開催し、引き続き組織拡大を最優先とする向こう2年間の新運動方針を決定した。6年ぶり2回目の選挙となった会長選では、笹森会長がUIゼンセン同盟会長で連合副会長の高木剛氏を破り、再選を果たした。

あいさつした笹森会長は、景気と雇用が悪化しているいま必要なのは、働きたい人に働く場をつくりだすことだとしたうえで「連合の役割は働く人たちのための政策を実現すること。生活破たんの危機に直面している人たちや、弱者切り捨ての憂き目にあっている弱い立場の人たちを置き去りしたまま夢や理想を追求していられるわけがない」と、すべての労働者のために闘う姿勢を強調。「今の日本の状況は言いっぱなし、やりっぱなしではもう通用しない。今の非常事態こそ政労使が総力戦で現状を打開していかなければならない」と述べて、「理不尽や不条理がどうしても解決できない時には、労働者魂をもって敢然と闘おう」と呼びかけた。

新運動方針は、「信頼される労働組合」「社会的影響力ある労働運動」をめざすとして、これまでの2年間に引き続き、組織拡大を最優先に掲げた。連合は2001年10月~03年9月では29万3,749人を組織化。目標の60万人には遠く及ばなかったものの、その前の2年間(13万9,000人)に比べれば組織化人数が倍増したとして、まずまずの評価を下している。今後2年間では、さらに組織化をてこ入れするため、産別による未加盟組織の組織化が進展しない場合、他の産別組織も同労組の組織化に参入することができるようにするほか、公務部門で、全省庁に連合加盟の組合をつくるとしている。また、中小・地場で働く労働者の組織化を強化するため、産別加盟が困難な組合の受け皿となっている地方連合会の「地域ユニオン」を抜本的に強化する。これまで地域ユニオンは県庁所在地にしかなかったが、地方連合会の下部組織である地域協議会での結成についても検討する。

一方、賃金を中心とする春闘の取り組みについては、「底上げ」に向けて中小・地場組合に軸足を置いた闘争に再構築するとともに、生計費にもとづく最低賃金を設定し、最賃闘争を連合全体の運動として強化するとしている。現在、連合の労働条件委員会では、全従業員対象の企業内最賃目標(時間額で何円以上と表示)などを設定することを視野に入れ、検討進めている模様だ。

民間最大産別UIゼンセン同盟の高木剛会長が、再選をめざす現職笹森会長の対抗馬として立候補して注目を集めていた連合会長選の結果は、全代議委員502票のうち笹森氏が346票、高木氏が149票、無効7票となり、笹森氏が約7割を獲得して2期目の続投を決めた。投票直前の立候補表明では、現在の連合運動の信任を問い、「やり残したことがある」と訴える笹森氏に対し、高木氏は「継続は停滞。時には変える視点を重視すべきだ」とトップ刷新を迫ったが、基本政策に違いが見られず、対立軸が不鮮明な選挙戦となった。

続投が決まった大会後の記者会見で笹森会長は、連合評価委員会(座長・中坊公平弁護士)の最終報告に触れ「工程表に書き換え、明確な目標を設定して取り組む。できるものから数値化して進める。今こそ労働運動の出番。連合が労働運動、日本の再生の先頭に立つ」と強調して、改革に意欲を示した。