坂口厚労相が会見-年金改革案は11月中旬に

(2003年10月3日 調査・解析部)

[行政]

9月22日に発足した第二次小泉改造内閣で、厚生労働大臣に留任した坂口力氏が9月29日、大臣室で労政記者クラブの会見に応じた。以下、要旨。

失業対策について

完全失業率は5%台で高止まりだが、どの産業分野の求人数も昨年比プラスにあることなどから、少し希望が出てきたのかなという気がしている。とはいえ、とくに若年層の失業は約10%と高く、企業が大学・高専など即戦力から採っており、高卒はパートでいいといった理由から若年層の雇用が宙に浮いているのならここをどうするか(が課題)で、文部科学省と連携し、来年からデュアルシステムを、まず4万人からスタートしたいと考えている。

少子・高齢化対策について

特効薬はないので、総合的に改善していくほかないが、一番関係するのは男性も含めた働き方だ。経営者の意識改革が必要で、現在のいわゆるコスト競争から脱却し、技術力などの中身勝負に転じない限り、リストラで残った人に長時間労働をお願いするようなことはなくならない。南関東では、夜11時以降翌朝3時までの間の帰宅が、正社員全体の2割を占める。サービス残業やあまりにも長い時間外労働には、各企業に対する指導・監督をさらに強化していくが、やはり根っこの部分、新しい産業をどう興していくかにかかっている。高齢者については、募集採用時の年齢制限緩和の努力義務をどうするか。年齢制限なく募集しても結果として若年を採用するなら同じことで、ここをどうするかだと思う。

過重労働対策について

ワークシェアリングが必要で、連合、日本経団連とずっと話してきたもののなかなか決着が着かない。考えてみれば、現在以上にどう負担を低くするかという雇う側と、自分たちの労働条件をいかに守るかの雇われている側で、現在雇われていない人の今後の話をするのだから、結論が出てこないのは当然だ。ここは少し政府の方から、ワークシェアリングの内容を示すとともに、国として付け加えるサービスを、言わなくてはならない。ワークシェアリングを率先して行う企業に対するメリットが、少し少ないのかなという気がしている。とくに長時間労働が多い企業に対して、今までより積極的にワークシェアリングの導入を要求していく必要がある。現在どちらかと言えば、労使の話し合いで決着をつけてくださいと、政府は一歩引いた形で見守ってきたが、経営者だけでなく、労働組合とも相容れない話が出てくるかもしれないが、少し強い姿勢で臨む必要があると思っている。

来年の年金制度改革について

年金制度を現在の延長線上で立て直すのか、それとも根幹に係わるところで立て直すのかが問われているが、来年の改革は延長線で考えざるを得ず、根幹に係わる改革をするのなら、30~40年かけて徐々にやっていくことになろう。国民から見ると、将来負担はどこまで上がり、給付は最低限どこまで保障されるかが重要で、先日の試案(坂口試案)ではここを示した。厚労省案は出来るだけ早く出したいわけだが、選挙もあり、国民の意見を聴かなければならないということで、少なくとも11月中旬くらいには考え方をまとめて与党に提示し、政府内で調整してもらうことになろうと思っている。