職場のインターネットの私的利用について

日本労働研究機構 発表
平成14年4月

インターネットの私的利用について3分の1の企業が「問題視・関心高まっている」
今後懸念しているのは私的利用によるウイルス感染や情報の流出
~「職場のインターネットの私的利用について」(労働に関するWEB企業調査)~

I.調査の概要

 本調査は、企業におけるインターネットの普及と情報管理への関心の高まりを背景に、職場でのインターネットの私的利用の現状と企業の問題意識、今後の対応等について明らかにすることをねらいとして実施したものである。
 上場企業と店頭登録企業合わせて3,575社に調査への協力をお願いし、そのうちの267社から協力をいただいた。調査の実施期間は、平成14年3月4日~3月22日である。
 なお、本調査は郵送により依頼し、回答はインターネットの日本労働研究機構ホームページ上に設定した調査票にオンラインで提出していただいた。

II.調査結果の概要<骨子>

「職場のインターネットの私的利用について」(労働に関するWEB企業調査)(PDF:89KB)

1. インターネットの私的利用

(1) 約9割の企業が、私的に利用している従業員がいると思うと回答
 業務でインターネットを利用している企業に、従業員が私的に利用しているかを聞いたところ、「多少いると思う」(52.5%)、「かなりいると思う」(35.7%)となっており、約9割の企業が私的に利用している従業員がいると回答している。(図2)

(2) 私的利用について関心が高まりつつある企業が31.9%
 従業員による私的利用が社内で問題となっているかについては、「大きな問題となっている」が3.4%、「関心が高まりつつある」が31.9%だが、「特に問題となっていない」との企業も63.5%となっている。従業員規模別にみると、規模が大きくなるほど「関心が高まりつつある」とする企業が多い。(図3、図4)

2.私的利用のルール

(1) 私的利用のルールを定めている企業は40.7%、定める予定のない企業は21.7%
 従業員によるインターネットの私的利用についてガイドラインや規則などで何らかのルールを定めているかについては、「定めている」が40.7%、「定めていないが今後定めたい」が37.6%と、ルール策定を考えている企業は多い。従業員規模別には、規模が大きくなるほどルールを定めている企業が多い。(図5、図6)

(2) 私的利用のルールは「私的利用を全面的に禁止している」が約7割
 私的利用についてのルールを定めている企業にその内容を聞いたところ、「私的利用を全面的に禁止している」が、メールについては74.5%、WEBサイトの閲覧については66.0%となっている。また、「業務に支障のない範囲で私的利用を認めている」はメール・WEBサイトの閲覧ともに2割弱となっている。(図8)

3.私的利用の防止対策

(1) 私的利用の防止対策を35.4%の企業が実施
 私的利用を防止するために何らかの対策を実施しているかについては、35.4%の企業が「実施している」と回答している。従業員規模が大きい企業ほど防止対策を実施している。(図11、図12)

(2) 防止対策の内容は、履歴の保存等が61.3%、利用状況のモニタリング(監視)が46.2%
 私的利用の防止対策を実施している企業にその内容を聞いたところ、「万一に備え、WEBサイトの閲覧やメールの利用状況等の履歴を保存している」(61.3%)、「インターネットの利用状況をシステム上でモニタリング(監視)している」(46.2%)の割合が高い。モニタリングの対象は電子メールの宛先(66.7%)やWEBサイトの閲覧先(92.9%)などとなっている。(図13、図14)

(3) モニタリング実施頻度は、「定期的に行っている」、「不定期に行っている」をあわせて約8割
 モニタリング実施頻度については、「定期的に行っている」(44.2%)、「不定期に行っている」(34.9%)をあわせると約8割となり、「問題の発生が疑われるときのみ行っている」は18.6%となっている。モニタリングの実施については、約4分の3の企業で従業員に説明している。(図15、図16)

(4) 防止対策を実施しない理由は「私的利用によって大きな問題は生じていないから」が71.8%
 私的利用を防止するための対策を実施していない企業にその理由を聞いたところ、「私的利用によって大きな問題は生じていないから」が71.8%と最も高く、次に「対策を実施するにはコストがかかるから」が24.1%となっている。(図17)

4.労働組合との話し合い

(1) 労働組合と話し合っている企業は7.2%、話し合っていない企業は55.9%
 インターネットの私的利用への対応について労働組合との話し合いを行っているかについては、「話し合っている」と回答した企業は7.2%にとどまり、「話し合っていない」企業が55.9%と半数を超える。(図18)

5.私的利用についての問題

(1) 私的利用によって生じる問題で今後警戒しているのは「ウイルス感染」(66.8%)や「企業の有する情報の流出・漏洩」(59.5%)
 インターネットの私的利用によってこれまでにどのような問題が生じたかを聞いたところ、「ウイルス感染」が46.6%と最も高く、「ネットワークの混雑などの通信の障害」が27.9%、「仕事の効率の低下」が23.3%と続く。一方、「特に問題はない」も38.9%と約4割を占める。
 今後企業として警戒する必要があると考えている問題については、「ウイルス感染」(66.8%)と「企業の有する情報の流出・漏洩」(59.5%)の割合が高い。企業規模別には、従業員規模が大きくなるほど「従業員のインターネット上の行為による社内/社外のトラブル発生」をあげる企業が多い。(図19、図21)

(2) 私的利用に関連した処分を行った企業は13.7%
 従業員の私的利用に関連して何らかの処分を行ったかどうかについては、「ある」が13.7%、「ない」が86.3%となっている。従業員規模が大きい企業ほど処分を行った割合が高い。(図22、図23)

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