消費者物価指数

加工統計

実施機関

総務省統計局統計調査部消費統計課

(出所 総務省統計局ホームページ「平成22年基準消費者物価指数の解説」)

指数の性格

消費者物価指数は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的に測定し、物価の変動を時系列的に測定するものである。家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどう変化するかを指数値で示す。家計の消費構造の変化(消費者が購入する財とサービスの種類、品質及び購入数量の変化)を伴った生計費の変化を測定するものではない。

指数の概要

1) 指数の対象範囲

消費者物価指数は、世帯の消費生活に及ぼす物価の変動を測定するもので、家計の消費支出を対象とする(ただし、信仰・祭祀費、寄付金、贈与金、他の負担費及び仕送り金については、対象から除外する。)。直接税や社会保険料などの支出(非消費支出)、有価証券の購入、土地・住宅の購入などの支出(貯蓄及び財産購入のための支出)は指数の対象に含めない。なお、持家の住宅費用については、「帰属家賃方式」により指数に組み入れる。

2) 指数算式

指数算式は、基準時加重相対法算式(ラスパイレス型)とする。

指数算式

3) 指数の基準時及びウェイトの参照年次

指数の基準時及びウェイトの参照年次は、平成22年の1年間とする。なお、ウェイトは、主に家計調査によって得られた平成22年平均1か月の1世帯当たり品目別消費支出金額を用いて作成する。

4) 指数品目

指数の計算に採用する品目(以下「指数品目」又は単に「品目」という。)は、世帯が購入する多種多様な財及びサービス全体の物価変動を代表できるように、家計の消費支出の中で重要度が高いこと、価格変動の面で代表性があること、継続調査が可能であることなどの観点から選定した587品目に持家の帰属家賃1品目を加えた588品目(沖縄県のみで調査する5品目を含む。)とする。

5) 価格

ア.   指数品目の価格には、原則として小売物価統計調査によって得られた市町村別、品目別の小売価格を用いる。なお、小売物価統計調査の調査市町村(以下「調査市町村」という。)の数は167である。

イ.   「パソコン(デスクトップ型)」、「パソコン(ノート型)」及び「カメラ」の3品目については、POS情報による全国の主要な家電量販店で販売された全製品の販売価格を用いる。

6) 指数の計算

指数の計算は、最初に、比較時価格を基準時価格で除して算出した品目別価格指数を各品目のウェイトで加重平均して最下位類の指数を算出し、次に各最下位類の指数を当該類ウェイトで加重平均して上位類の指数を算出する。同様にして、小分類指数、中分類指数、10大費目指数、総合指数の順に積み上げる。

全国の指数は、最初に、各調査市町村の品目別価格指数を各調査市町村の品目別ウェイトで加重平均して、全国の品目別価格指数を算出し、次に、全国のウェイトを用いて、上記の方法により順次上位類を計算して総合指数を算出する。なお、都市階級別、地方別などの指数も全国の場合と同じ方法により算出する。

作成する指数

1) 基本分類指数

ア.   全国及び東京都区部について、総合、10大費目、中分類、小分類及び品目別の基本分類指数を作成する。10大費目とは、食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健・医療、交通・通信、教育、教養・娯楽、諸雑費。

また、都市階級(5系列)、地方(10系列)、大都市圏(4系列)、都道府県庁所在市(東京都区部を除く。)及び一部の政令指定都市(川崎市、浜松市、堺市及び北九州市)(50系列)の69系列については、総合、10大費目及び中分類の指数を作成する。

イ.   基本分類指数の別掲項目として、「持家の帰属家賃を除く総合」、「生鮮食品を除く総合」、「持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合」、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」などの指数を作成する。

2) 財・サービス分類指数

ア.   財・サービス分類指数は、全国及び東京都区部について作成する。財・サービス分類は、例えば、耐久消費財、半耐久消費財、非耐久消費財、公共料金というように分類したもの。

イ.   財・サービス分類指数の別掲項目として、「持家の帰属家賃を除くサービス」、「公共料金」などの指数を作成する。

3) 世帯属性別指数

全国について、次の指数を作成する。

ア.   総世帯 中分類指数 (総世帯とは二人以上の世帯と単身世帯を合わせた世帯)

イ.   勤労者世帯年間収入五分位階級別 中分類指数

ウ.   世帯主60歳以上の無職世帯 中分類指数

エ.   世帯主の年齢階級別 10大費目指数

オ.   世帯主の職業別 10大費目指数

カ.   世帯主の住居の所有関係別 10大費目指数

4) 品目特性別指数

全国について、次の指数を作成する。

ア.   基礎的・選択的支出項目別指数

イ.   品目の年間購入頻度階級別指数

5) 季節調整済指数

全国及び東京都区部について、次の8系列を作成する。

<基本分類指数>

  • 総合
  • 生鮮食品を除く総合
  • 持家の帰属家賃を除く総合
  • 持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合
  • 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く

<財・サービス分類指数>

  • 半耐久消費財
  • 生鮮食品を除く財

6) 参考指数

全国について、次の指数を中分類まで作成する。

ア.   ラスパイレス連鎖基準方式による消費者物価指数

イ.   中間年バスケット方式による消費者物価指数

7) その他

次の指数を作成する。

ア.   戦前基準東京都区部5大費目指数

イ.   平成17年基準換算全国・東京都区部中分類指数

ウ.   消費者物価地域差指数

指数の公表

消費者物価指数は、原則として毎月26日を含む週の金曜日の午前8時30分に公表する。公表内容は、全国の前月分指数及び東京都区部の当月分指数の中旬速報値である。なお、12月分公表時には年平均指数を、3月分公表時には年度平均指数を、それぞれ公表する。

1) 消費者物価指数公表冊子・・・・全国及び東京都区部のそれぞれについて、当該月の基本分類指数及び財・サービス分類指数を収録。毎月公表日に刊行。インターネットのホームページにも掲載。

2) 消費者物価指数月報・・・・・・・・当該月の全系列の指数及び主要系列の時系列指数を収録。インターネットのホームページにのみ掲載。

3) 消費者物価指数年報・・・・・・・・各月及び年平均の基本分類指数、財・サービス分類指数のほか、世帯属性別指数、品目特性別指数などを収録。当該年の翌春に刊行。インターネットのホームページにも掲載。

[参考] 持家の住宅費用の取扱いについて

消費者物価指数では、持家の住宅費用を指数に算入するため、昭和45年から帰属家賃方式により「持家の帰属家賃」指数のほか、「持家の帰属家賃」を含めた総合指数などを作成している。昭和60年基準からは、それまで参考系列として作成してきた「持家の帰属家賃を含む総合指数」を主系列の総合指数としている。

消費者物価指数のウェイト作成に用いる家計調査では、世帯が住宅を購入した場合にその費用は財産購入(資本の蓄積)とみなし、消費支出には計上していない。しかし、自己が所有する住宅に居住した場合、家賃の支払いはないものの、所有する住居から受けるサービスを自分自身で生産し、消費していると考えることができる。このサービス額を一般市場価格で評価し、家計部門の支出に計上するのが「持家の帰属家賃」の概念である。消費者物価指数における持家の住宅費用の取扱いについては、様々な方法があり、各国でもその方法は異なる。国際労働機関(ILO)が2004年に刊行した『消費者物価指数マニュアル:理論と実践』では、持家の住宅費用について1)取得、2)支払、3)使用の3つの観点からアプローチする方法があると提示しているが、我が国においては、3)の「使用」に着目し、持家の住宅を借家とみなした場合に支払われるであろう家賃を持家の住宅費用とみなして指数に組み入れている。実際の指数計算では、基準年の前年(5年ごと)に実施される全国消費実態調査(平成22年基準改定においては平成21年調査)において推計される「持家の帰属家賃」を基に算出した持家の帰属家賃額をウェイトに算入し、毎月の比較時価格は小売物価統計調査で調査している民営家賃の家賃額を代入している。

(平成25年11月更新)