統計情報Q&A:専業主婦世帯、共働き世帯

共働き世帯、専業主婦世帯という言葉をよく耳にしますが、統計調査の報告書に見当たりません。最近は、夫婦とも非正社員である世帯数の増加も、よく耳にします。
どこを探せばよいのでしょうか。

1   総務省の「労働力調査」詳細集計、「労働力調査」基本集計、「国勢調査」、「就業構造基本調査」の統計表でわかります。これらには、夫と妻のいる世帯数の統計表で、夫と妻の就業状態のわかるものがあります。次の一覧表のとおりです。

 その統計表から、共働き世帯数であれば、夫と妻の両方が雇用者または就業者である世帯数をピックアップします。専業主婦世帯数であれば、夫が雇用者または就業者で、妻が非労働力人口(場合によってはさらに失業者または完全失業者)に当たる統計をピックアップします。

 ここで、雇用者または就業者と言いました。例えば、夫が自営業で、妻が雇用者である場合も共働き世帯とするか、夫婦とも雇用者(サラリーマン)である世帯だけを共働きとするか、これは統計を使う目的次第です。失業者または完全失業者に該当する場合をどうするかも同様です。

 夫または妻の雇用形態(就業時間数の長短、正社員かどうかなど)の別、また、子供の有無、子供の年齢(末子の年齢)別にわかる統計表もあります。

2   1990年代半ばに、共働き世帯が専業主婦世帯を数で抜いたとよく言われますが、これは、内閣府「男女共同参画白書」や厚生労働省「厚生労働白書」に毎年、掲載されている図表を参照しているものと思われます。出所は、いずれも総務省「労働力調査」詳細集計です。
(参考)専業主婦世帯数と共働き世帯数の推移(早わかりグラフでみる長期労働統計)

 これらの白書では、①夫婦ともに非農林業雇用者の世帯を「雇用者の共働き世帯」、②夫が非農林業雇用者で、 妻が非就業者(非労働力人口または失業者(2017年までは完全失業者)に該当する者)の世帯を「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」としています。 ①が「共働き世帯」、②が「専業主婦世帯」としてよく引用されるようです。

【夫と妻のいる世帯数がわかる統計表】
調査名 表番号 統計表
(政府統計の総合窓口  e-Stat)
 (注)
統計表からわかる
世帯、夫婦の例
労働力調査
(詳細集計)
第V-1表 妻の年齢階級,妻及び夫の就業状態・農林業・非農林業・従業上の地位・月末1週間の就業時間・就業希望の有無・仕事からの収入(年間)・夫の求職理由,世帯の家族類型別夫婦のいる世帯数(世帯の家族類型4区分)新しいウィンドウ 夫、妻ともに就業者
夫、妻ともに非農林業雇用者
夫が非農林業雇用者、妻が非就業者
夫、妻ともに短時間労働者
国勢調査
就業状態等
基本集計
23-3 夫の年齢(5歳階級),子供の有無,最年少の子供の年齢(各歳),夫の労働力状態,妻の労働力状態別一般世帯数(夫婦のいる一般世帯)-全国,都道府県,21大都市,特別区,人口50万以上の市新しいウィンドウ 夫、妻ともに就業者
夫、妻ともに雇用者
夫が就業者、妻が非就業者
夫が雇用者、妻が非就業者
労働力調査
(基本集計)
第Ⅳ-7表 妻及び夫の就業状態・農林業・非農林業・従業上の地位・月末1週間の就業時間・月間就業時間,世帯の家族類型別夫婦のいる世帯数新しいウィンドウ 夫、妻ともに就業者
夫、妻ともに雇用者
夫が就業者、妻が非就業者
夫が雇用者、妻が非就業者
就業構造
基本調査
全国編 
世帯単位で
見た統計表
241 夫の就業状態・仕事の主従・従業上の地位・雇用形態、妻の年齢、妻の就業状態・仕事の主従・従業上の地位・雇用形態・就業希望の有無、世帯の家族類型・末子の年齢別世帯数(「夫婦のみの世帯」、「夫婦と親から成る世帯」、「夫婦と子供から成る世帯」、「夫婦、子供と親から成る世帯」)-全国新しいウィンドウ 夫、妻ともに有業者
夫、妻ともに雇用者
夫が有業者、妻が無業者
夫が雇用者、妻が無業者

以下は、夫婦数の統計

国勢調査
就業状態等
基本集計
28-1 夫の年齢(5歳階級),夫の労働力状態・従業上の地位,妻の労働力状態・従業上の地位別夫婦数(一般世帯)-全国,都道府県,21大都市,特別区,人口50万以上の市新しいウィンドウ 夫、妻ともに就業者
夫、妻ともに雇用者
夫が就業者、妻が非就業者
夫が雇用者、妻が非就業者
夫、妻ともに非正規労働者
夫が就業者、妻が主に家事

注 労働力調査は基本集計、詳細集計とも2023年平均、国勢調査は2020年、就業構造基本調査は2022年の調査結果の各サイトの該当箇所へのリンク。

【いろいろな統計調査による数字】

項目 調査
共働き世帯数 1,529万世帯(夫、妻ともに就業者) 労働力調査詳細集計2023年
1,546万世帯(夫、妻ともに就業者) 労働力調査基本集計2023年
1,346万1,700世帯(夫、妻ともに有業者) 就業構造基本調査2022年
1,320万6,934 世帯(夫、妻ともに就業者) 国勢調査2020年
1,307万世帯(夫、妻ともに雇用者) 労働力調査基本集計2023年
1,278万世帯(夫、妻ともに非農林業雇用者)注 労働力調査詳細集計2023年
1,288万世帯(夫、妻ともに非農林業雇用者) 労働力調査基本集計2023年
1,132万5,700世帯(夫、妻ともに雇用者) 就業構造基本調査2022年
1,058万1,781 世帯(夫、妻ともに雇用者) 国勢調査2020年
専業主婦の世帯数 582万世帯(夫が就業者、妻が非就業者(非労働力人口及び失業者))
労働力調査詳細集計2023年
606万世帯(夫が就業者、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)) 労働力調査基本集計2023年
563万1,500世帯(夫が有業者、妻が無業者) 就業構造基本調査2022年
581万6,497 世帯(夫が就業者、妻が非就業者) 国勢調査2020年
540万世帯(夫が雇用者、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)) 労働力調査基本集計2023年
517万世帯(夫が非農林業雇用者、妻が非就業者(非労働力人口及び失業者))注
労働力調査詳細集計2023年
534万世帯(夫が非農林業雇用者、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)) 労働力調査基本集計2023年
496万6,500世帯(夫が雇用者、妻が無業者) 就業構造基本調査2022年
507万6,822 世帯(夫が雇用者、妻が非就業者) 国勢調査2020年
夫婦とも、短時間労働者である世帯数 117万世帯(夫、妻ともに月末1週間の就業時間が1~34時間の非農林業雇用者) 労働力調査詳細集計2023年
119万世帯(夫、妻ともに月末1週間の就業時間が1~34時間の非農林業雇用者) 労働力調査基本集計2023年
共働き夫婦数 1,344万5,985組(夫、妻ともに就業者の夫婦数) 国勢調査2020年
932万7,609組(夫、妻ともに雇用者の夫婦数)
362万1,476組(夫、妻ともに正規の職員・従業員の夫婦数)
専業主婦の夫婦数 592万7,120組(夫が就業者、妻が非就業者(非労働力人口+完全失業者)の夫婦)
457万8,133組(夫が雇用者、妻が非就業者(非労働力人口+完全失業者)の夫婦)
554万0,701組(夫が就業者、妻が主に家事(非労働力人口のうち)の夫婦)
夫婦とも、非正規労働者である夫婦数 76万1,084組(夫、妻ともに非正規労働者(労働者派遣事業所の派遣社員+
パート・アルバイト・その他)の夫婦数)

注 内閣府「男女共同参画白書」や厚生労働省「厚生労働白書」で参照されている。