平成9年加齢と職業能力に関する調査

担当 日本労働研究機構
計量情報部 統計情報課

日本労働研究機構 発表
平成9年6月25日

 

何らかの配慮があれば働くことができる年齢は、
企業側60.6歳、従業員側63.9歳

~平成9年加齢と職業能力に関する調査~

I.調査の概要

 本調査は、事業所において働く高年齢労働者(50歳以上)を対象として、労働者の年齢による職業能力の変化と労働可能年齢、及びこれらに影響を与える諸要因を、事業所の人事総務担当者と高齢労働者自身の評価を通じて明らかにし、定年延長、高年齢者の能力活用等の高年齢者雇用対策の基礎資料を得ることを目的として実施した。
調査事業所は、常用労働者を100人以上雇用する全国の企業の中から、規模別に6,000事業所を抽出し、調査従業員は、事業所調査の対象企業の50歳以上の従業員19,800人を対象として、平成9年1月1日現在の状況について調査した。
(回収票数:事業所調査1,175票、個人調査2,505票)

II.調査結果の概要

<骨子>

1.職種をこなすために要求される能力

 職種ごとに要求される能力について、人事担当者および従業員の間に認識の相違する点はほとんどみられない。
職種別にみると、「管理職(役員を除く)」で、職場管理能力、組織内調整能力、判断力、指導・育成能力、外部との折衝能力などについて、「専門・技術職」で、専門的知識、理解力、技術技能の熟練などについて要求水準が高い。

(図)職種をこなすために要求される能力
<専門的知識> <理解力> <企画力・開発力> <判断力>
<職場管理能力> <組織内調整能力> <外部との折衝能力> <指導・育成能力>
<筋力・体力> <集中力> <精神力> <視聴覚能力> <技能・技術の熟練>

2.職種をこなす能力と年齢との関係……(図)要求される能力と年齢との関係

 「年齢に伴い能力も上がるが、ある年齢以降は低下する」と回答した割合は、「管理職(役員を除く)」、「事務職」、「販売職」で低く、「運輸・通信職」、「採掘・製造・建設作業等」で高い。

3.「(能力は)ある年齢以降は低下する」場合の年齢的経過……(図)人事担当者と従業員の認識の差

(1) 最も能力を発揮する年齢は、企業側で43.1歳、従業員側で46.7歳となっている。
(2) 普通に働ける年齢は、企業側で53.3歳、従業員側で57.4歳となっている。
(3) 何らかの配慮があれば働くことができる年齢は、企業側で60.6歳、従業員側で63.9歳となっている。

4.何らかの配慮の内容……(表)「何らかの配慮」上位5項目の構成

 何らかの配慮があれば働くことができる場合の配慮の内容は、「仕事の分担を調整する」、「仕事の量を調整する」が、企業側、従業員側ともに第1位、第2位を占めた。
「労働時間を短縮する」、「休暇を取りやすくする」については、従業員側の回答割合がほぼどの職種についても企業側を上回った。