情報化の進展及び今後の社会動向への企業の対応に関する実態調査報告書(要約版)

2 情報化に伴う企業組織や仕事の編成上の変化

(2)情報化に伴う人事・雇用面の変化

a)情報化に伴う労働力構成の変化

情報化の進展による人員の配置や人員数といった企業の労働力構成の変化をみると、「本社部門の人員が減った」(33.2%)、「情報システム業務の人員が増えた」(32.1%)、「工場、営業所の人員が減った」(20.8%)を指摘する企業が比較的多くなっている。

表 情報化に伴う労働力構成の変化(回答企業全体n=558)
表 情報化に伴う労働力構成の変化

b)情報化が企業全体の社員採用方針へ与えた影響

情報化の進展によって、企業全体の社員の採用方針にどのような影響が生じたかをみると、「特に情報化の影響はない」が最も多く56.6%を占めていた。影響があったとする企業では、「採用時に情報化への適応可能な人材の確保を心掛けるようになった」が30.3%と多く、この他では「人材派遣会社の活用が増加した」が10.8%、「パートやアルバイトの雇用が拡大した」が9.0%となっている。

図3 情報化が社員採用方針へ与える影響(複数回答)
図3 情報化が社員採用方針へ与える影響(複数回答)のグラフ

c)情報化が人事・労務管理面に与えた影響

情報化による人事・労務管理面の変化としては、事務部門では、最も指摘の多かったのは「従業員に対する情報化教育の必要性が高まった」(73.3%)であり、これに次いで「事務処理の速度が増し、労働時間の短縮化が進んだ」(46.4%)、「女子社員の戦力化が行なわれた」(35.5%)、「中高年層の中に情報化に適応できない者が多くみられた」(24.7%)などが挙げられた。

現業部門については事務部門と同様に、「従業員に対する情報化教育の必要性が高まった」(50.9%)が最も多く、次いで「事務処理の速度が増し、労働時間の短縮化が進んだ」(23.5%)、「中高年層の中に情報化に適応できない者が多くみられた」(18.3%)の順となっている。

図4 情報化が人事・労務管理面に与えた変化(複数回答)
図4 情報化が人事・労務管理面に与えた変化(複数回答)のグラフ

d)情報化に伴う女性社員の業務内容の変化

情報化の進展に伴う女性社員の業務内容に関する変化の有無とその方向をみると、コンピュータ、ワープロなど端末操作に従事する女性が増え、単純業務に配置されている女性社員は減っているが、その一方で女性アルバイト、パートが増加しているという指摘が多かった。

また、専門的業務、技術的業務に従事する女性や、戦力として期待されている女性の増加もみられた。

図5 情報化に伴う女性社員の業務内容の変化
図5 情報化に伴う女性社員の業務内容の変化のグラフ

e)情報化の進展に伴う中高年社員の適応状況の変化

情報化の進展に対する中高年社員の適応状況をみると、中高年社員が仕事の中で情報化機器を使用する機会は確実に増えており、また情報ネットワークを活用する傾向もみられ、情報化学習への参加の意欲も増大している。

こうした中で、情報化に全く適応できない中高年が減少しているが、その一方で、情報化の一層の進展により、中高年社員にとっては適応が難しい仕事も増えていると考えられている。

図6 情報化の進展に伴う中高年の適応状況
図6 情報化の進展に伴う中高年の適応状況のグラフ