◆サマータイムに挑戦する北海道
北海道が7月1日(木)から31日(土)までの1ヶ月間、サマータイムに挑戦する。札幌商工会議所の提唱に応じた約200の企業や自治体、団体で、この期間、時計の針を標準時間よりも1時間ないし2時間早める。日本でも東に位置し、もっとも高緯度にある北海道は夏の日中時間が東京、大阪より1時間も長い。サマータイムを実施するには、地理的にも最適の地である。
サマータイム導入の動きが、このところ活発化しているように感ずる。昨年夏、滋賀県庁が職員を対象に試行実施を行ったほか、消極的姿勢だった労働界でも、金属労協(IMF・JC)が昨年大会で導入賛成を打ち出し、政府への申し入れを行った。経済界や学識者、労働組合が参加する生活構造改革フォーラムが導入に向けた活動を活発化させているし、国会では超党派の推進議員連盟が平沼・前経済産業相を会長に組織する準備が進められている。
サマータイムと言うとかつては、省エネルギーの効果が強調されていた。それが消えたわけではないが、最近の動きの特徴は、日本人のライフスタイルを見直すという視点から、サマータイムにスポットが当てられていることだ。
金属労協が作成したパンフレットは冒頭で、経済の低迷、環境問題の深刻化、少子高齢化の進展など、最近の日本社会全体に漂う閉塞感を指摘した後、「会社中心」の生活から、地域や家庭を重視し、生活者である国民が主役となる新たなライフスタイルへの転換を抜本的に見直すきっかけとして、サマータイムの導入が効果的だと主張している。
男女がともに働き、ともに家庭を築いていく責任が問われるように社会の価値観が変化してきた。それに呼応した形で、サマータイムへの要望と動きが高まってきていると判断できよう。滋賀県庁の実験の結果では、参加者は増えた夏の夕方を利用してスポーツや地域・文化活動を楽しんだとする一方、「家族とのふれあい」の時間が増えたとする意見がもっとも多かった。
北海道のサマータイム実験で札幌商工会議所は、本州とは異なる時間帯で生活が動くことそのものを、さわやかな夏の気候・風土とともに、“北海道のすばらしさ”として全国にアピールしたいという意向があるという。北海道らしいライフスタイルを創造することで他の地域との差別化をはかり、観光や産業振興にも結び付けたいというわけだ。なかなか面白い発想である。
札幌の夏の空は抜けるように青く美しい。浮かぶ夏雲は夕日を受けてひときわ立体的な造形を映し出す。この夏の大通り公園では、その雲を追いながらジョッキを傾ける人の輪が、芝生に大勢見かけるようになるのだろうか。
(久) |