全国一斉リストラ・残業110番について

日本労働弁護団本部

 2003年12月6日(土)を中心に全国で実施した全国一斉リストラ・残業110番の結果は、下記の通りです。

 I 相談件数

 今回は、過労死弁護団と共催で「なくせ長時間労働!残業・過労死110番」を11月22日に実施した直後とあってか、比較的相談件数は落ち着いていたが、 依然、長時間労働・残業や解雇に関する相談が多数を占めた。

 今回の(12月6日、28都道府県、29カ所実施。石川は12月8日実施)相談件数は全体で440件であった。地域的には、東京、愛知、大阪、北海道、神奈川などの相談件数が多かった。

 労働弁護団主催の全国(もしくは首都圏)一斉電話相談は、今回で22回目にあたり、東京の本部では常時弁護士15人体制で午前10時から午後5時まで7本の電話で対応した。

 東京だけで91件あり、11月の残業・過労死110番の相談件数も加えると200件に迫る勢いである。本日の全国一斉相談を契機にして常設のホットライン(後掲参照)に新規、継続相談が多数寄せられることが予測される。常設のホットラインにも毎回多数の相談が寄せられ 、依然として衰えを見せていない。ちなみに昨年12月の全国一斉リストラ・残業110番では753件、今年6月の同110番には695件の相談があった。

 II 相談内容

 過労死弁護団と共催で11月22日に実施した「なくせ長時間労働!残業・過労死110番」では、賃金不払残業や長時間労働の問題を中心に電話相談を受 け付け、全国から304件の相談を受け付けた(全国9カ所)。にもかかわらず、今回の「リストラ・残業110番」でも依然として、長時間労働や残業代に関する相談が殺到し、しかもその相談内容は、これまでになく深刻である。特に、裁量労働制を適用されている労働者からの相談や管理職や年棒制労働者等、残業代の支給対象外とされている労働者が、その長時間労働に耐えかね、また、残業代不支給に疑問を持って相談の電話を掛けてきている。

 また、使用者側の対応も悪質・巧妙化している。タイムカードを廃止したり、自己申告制で時間管理をしていない職場も多く、一方、タイムカードを設置していても、押さないように「指導」したり、押した場合に会社から警告されるため、労働者側が自粛して押さないようにするなどの例である。あるいは、タイムカードを押してからまた残業をやれと指示されているところもある。大手企業では、生命保険、損害保険等の著名企業で悪質な残業代不払いの事例が見られた。

 解雇や退職強要の相談も依然多く、厳しい雇用情勢が続いていることは間違いない。また、うつ病などの精神障害で仕事ができなくなったり、求職を余儀なくされた労働者からの相談も多 い。今回は、20代から30代の比較的若い層からの相談が目立つ。

 III 常設のホットライン

東京の弁護団本部では祝日を除く毎週火曜、木曜の午後3時から6時まで電話相談を実施している。受付電話番号は、03-3251-5363。東京本部のほかにも、常設のホットラインを実施している地域は、埼玉(048-837-4821)が毎週火曜日の午後1時から4時迄。神奈川(045-651-6441)が毎週月曜日、水曜日、金曜日の午前11時から午後1時迄。東海地域(052-252-2395)が毎月代2火曜日午後5時から7時迄。広島(082-228-2458)が毎週月曜日から金曜日の午前10時から午後5時迄。

 IV 相談の傾向(特徴的な傾向)

  1. 長時間労働・残業代不払い

     今回も、「リストラ・残業110番」として実施したこともあり、前回同様、長時間労働や賃金不払いについての相談が数多く寄せられ、相談全体の5割近くに上った。長時間の時間外労働、休日労働をしているにも関わらず、残業代が 低額で打ち切られている、あるいは、全く払ってもらえないという相談が多い。しかし、残業代を請求したくても、会社や上司が怖くてなかなか請求できないという相談が目立つ。

     また、使用者側が残業代を支払わないことを明言したり、労働者に対して不払い残業を強制するような悪質事例が前回以上に多い。また、使用者、労働者ともに労働基準法の時間外労働に関するルールを知らないで、違法な残業が蔓延している。

     例えば、「100時間以上残業しているが、実際に支払われるのは20時間。自己申告制で時間管理がされていない」「午後9時か10時まで残業しているが、20時間打ち切り。タイムカードがない」などが典型である。

     また、裁量労働制だと言われている労働者からも「土日も出勤しているが裁量労働制だと言われて、残業代が支払われない」という相談があるが、本人は労使協定があるかどうかも知らず、法定要件(労使協定の締結や本人の同意等)を満たしていないことは明白である。「編集業務が、企画型裁量労働制の商品開発に当たるとして、残業時間が年間360時間に制限されている。実際の労働時間はもっと多い」という出版社の労働者からの相談もあった。これも本人の同意など法定要件を満たしているか 、極めて疑問な例である。

     労働時間管理の問題では、タイムカードの打刻について制限されているという相談がかなり目立つ。「タイムカードを押すなといわれているので、修正液で修正することもある」、「タイムカードは帰りには押さないようにといわれている」、大手の無線会社で「サービス残業が蔓延していて、会社はタイムカードの改竄やIDカードの退館記録の改竄をしている。」という相談があり、残業代の支払い義務を免れるために、犯罪的な行為までやるような極めて悪質な企業が存在することは驚きである。
     

  2. リストラ事案

     東京は残業・長時間労働の相談が多数を占めているが、各地ではリストラを理由とした解雇や賃金カット、雇用形態の切替などの相談が多い。

     例えば、12月1日から従来の月給制を変更して日給8,500円にすると言われ、事実上の退職強要で会社を辞めざるを得なかったという賃金支給形態の一方的変更によって賃金をカットしようとする違法な措置である。

     また、今年7月にリストラ退職を拒否して会社に残れたのだが、夏の賞与がカットされ て従来の3割しか支給されなかった。この冬の賞与も同様にカットされるのではないかと不安だという相談がある。このような退職勧奨を拒否したことに対する報復として賞与をカットすることは違法である。

     今年9月に従業員22名をいったん全員解雇し、一部をパートとして再雇用したが、これに伴って、月給が38万円から13万円に一気に下げられた。何とかならないかという相談がある。雇用形態の一方的切替と賃金切り下げをセットにしたリストラであり、労働者との個別合意もなく雇用形態を変更させることはできないし、一方的な賃金切り下げは違法である。

     また、会社が赤字だからという理由だけで解雇されたという事案があるが、「赤字である」ことだけで解雇することは許されない。事業者の経営上の理由から人員削減のための解雇をするには、整理解雇の4要件が判例法理上確立した法的要件であることを徹底的に周知させなければならない。

 
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