大胆に踏み込んだ分析を

東海林智

毎日新聞新しいウィンドウ 社会部記者(労働担当)

JILPTのメールマガジンは創刊号以来の熱心?な読者です。お恥ずかしい話をすれば、当初の利用目的は、自分の書いた記事をトレースする意味合いが強かった。新聞、テレビなどメディアで労働問題の取材に携わる場合、たいていの場合が異動で、畑違いの所から労働問題の担当になる場合が多い。私の場合も、労働問題に関心を持ち続けてきたが、労働取材を始めたころは知識も乏しく、自分の書く記事に自信がなかった。そこで、こっそりとメールマガジンを見て、自分が的外れな記事を書いていないか確認するのに利用させて頂いた。

というのも、連合や産別労組の会見など日々の取材現場でJILPTの職員の方にしょっちゅうお会いする。長年、労働問題に携わっておられるだけに、解釈や分析が非常に参考になる、いや、教えられることが多かった。そうした中から、メールマガジンで報告される記事を読み、自分の書いた記事を比較してみるのが非常に勉強になった。他のライバル紙との比較は、前述したような状況なので大して気になるところもないのだが、メルマガでは気付かないような視点が示される時も多々あるのだ。

従って読み方としては自然と教科書的に読んでいる部分が多い。最近は、少しは労働問題の現状への理解が進んできたので、参考書的に読ませてもらっています。

またお恥ずかしい話でありますが、厚労省の資料などもきめ細かくフォローしてあるので、メルマガを見て、慌てて取材するケースがままあります。

今の、端的な紹介があって、興味があれば先に進むという形は非常に合理的なのですが、少し一覧性に気を配って欲しいと思います。すべてをベタ貼りとまでは言いませんが、記事に軽重をつけて頂ければありがたい。軽重というと語弊があるかも知れません。要するに「今号のイチオシはこれだ」と分かるような形がありがたいです。情報量が豊富なので、全部に付き合う(もちろん、関心がなければ読み飛ばしますが)と結構な時間を必要とするので、一覧性を高めて欲しいです。わがままな要求ですが、そうすることで作り手の姿勢も自然と伝わるのではないでしょうか。難しい立場もあるのでしょうが、無味乾燥なリポートと扱ってしまいたくないのでぜひお願いしたい。

年末年始に話題を呼んだ「年越し派遣村」、あるいは京品ホテルの争議、あらゆる場面にJILPTのスタッフが顔を出している。個人的な趣味で現場に顔を出しているかも知れないが、労組の定期大会なども含めて現場に必ずいる。現場を大事にし、足を運ぶ姿勢がある限り(我々メディアもそうですが)、信頼を寄せています。その姿勢をこれからも大事にして頂きたい。またしても、難しい注文をします。現場に足を運ぶ、そして知識もある、そうした人たちが書く原稿だと思って読んでいます。だからこそ、もう一歩踏み込んだ、意見、分析をしても良いのではないかと思います。メディア以上に公平・中立に気を使っていますよね。論争を巻き起こすような大胆な見解を、毎回とは言いませんから、提起して頂きたい。

(2009年1月)