ワタミの過労自殺訴訟和解 1億3,000万円支払い謝罪/東京地裁

[判例命令]

ワタミグループの居酒屋「和民」で働いていた森美菜さん=当時(26)=を過労自殺で失った両親が、ワタミ(東京都大田区)や創業者で参院議員の渡辺美樹氏らに損害賠償を求めていた訴訟は8日、東京地裁で和解が成立した。原告側によると、渡辺氏らが法的責任を認めて謝罪し、約1億3,000万円を支払う。

森さんの死は、従業員に過酷な労働を強いる「ブラック企業」が注目されるきっかけの一つとなった。賠償額には慰謝料4,000万円も含まれ、原告側代理人の玉木一成弁護士は「通常の倍額で『懲罰的要素』が考慮された」と指摘。今回の和解内容が、長時間労働の多いサービス業などで労働環境の改善につながるよう期待を寄せた。

玉木弁護士らによると、和解条項でワタミ側は、森さんの死は過重労働が原因と認めた。渡辺氏については「最も重大な損害賠償責任を負う」ことを確認。謝罪の文言を含む和解内容を1年間、同社と渡辺氏のホームページ上に掲載する。

同社は今後、労使協定で取り決めた残業時間の限度を守るなど過重労働の防止を図る。渡辺氏の著書購入費などを給料から天引きしていたが、森さんが入社した2008年以降の新卒社員に対し、これらを返金することも盛り込まれた。

厚生労働省で記者会見した父豪さん(67)は「再発防止を盛り込んだのは良かった。今苦しんでいる人たちに、良い影響が出ることを望む」と話した。

訴状によると、森さんは08年4月に入社し、神奈川県内の店に配属。6日連続の深夜勤務などで1カ月間の時間外労働は過労死の目安とされる80時間を上回る約140時間に上り、同年6月に自殺した。

渡辺氏は8日、フェイスブック上で「裁判所内で遺族に直接、衷心より謝罪を申し上げた。最も重い責任は私にある」などとコメントした。

(時事通信)
2015年12月8日