過労死等防止対策推進法案が衆院厚労委で可決

(2014年5月23日 調査・解析部)

[行政]

「過労死等防止対策推進法案」が23日、衆議院厚生労働委員会で、全会派一致で可決された。法案は、過労死等の防止のための対策を効果的に推進することを国の責務と定め、 (1) 過労死等の防止のための対策に関する大綱の策定義務、 (2) 過労死等の概要および政府が講じた施策の状況に関する報告書の国会提出義務、 (3) 厚生労働省内における過労死等防止対策推進協議会の設置、 (4) 過労死等防止啓発月間(11月)の設定などを規定するもの。

超党派案による修正を全会派一致で可決

過労死等の問題をめぐっては、「過労死防止基本法制定を目指す超党派議員連盟」(代表世話人=馳浩・自民党衆議院議員)が昨年12月に法案提出を決断。「過労死防止基本法案」(衆法第28号)※1が12月4日、野党6党の共同提案の形で第185回臨時国会に提出されたものの、与党内での調整等が間に合わずに、継続審議とされてきた経緯がある。

こうしたなか、自民党の雇用問題調査会には「過労死等防止に関するワーキングチーム(WT)」が起ち上げられ、全国過労死を考える家族の会をはじめ、関係省庁・団体に対するヒアリングを交えて8回にわたる議論を重ね、このほど「過労死等防止対策推進法案」(超党派案)がまとめられ、先の野党案に差し替える形で、23日の衆議院厚生労働委員会で、全会派一致で可決される運びとなった。

法案の起草に当たっては、全国過労死を考える家族の会代表世話人の寺西笑子・参考人による意見陳述も行われ、「繰り返される過労死をなくしたいという思いで活動してきた。一人でも多くの命を救うため、今国会で必ず成立させていただきたい」などと要請した。

この間、「過労死防止基本法制定を目指す超党派議員連盟」の会員数は125人まで増え、また、「過労死防止基本法の制定を求める意見書」を採択した自治体も、10道府県議会を含む全国119地方議会を数えた。

「労働立法の歴史を変えるほどの意義」

採決の前日、衆議院第一議員会館では「過労死防止基本法制定実行委員会」の主催(呼びかけ:全国過労死を考える家族の会・過労死弁護団全国連絡会議)で、「『過労死防止法』の今国会成立を実現する緊急のつどい」が開催された。

あいさつに立った実行委員長の森岡孝二・関西大学名誉教授は、2011年11月の結成以降、50万筆以上を集めた署名活動の取り組みや、過労死家族の会を中心に奮闘した議員等への要請活動などを振り返り、「よくここまで漕ぎ着けられたものだというのが、率直な感想。過労死が深刻な社会問題になった1980年代末からの経過を考えると、過労死の防止を目的とする法律が制定されることは、労働立法の歴史を変えるほどの意義を持つ」などと強調した。

防止対策を推進する国の責務等を規定

「過労死等防止対策推進法案」※2では、過労死等を「業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡、またはこれらの脳血管疾患もしくは心臓疾患もしくは精神障害」と定義する(第2条関係)。

そのうえで、過労死等を防止するための対策を効果的に推進することを「国の責務」(地方公共団体には国と協力する努力義務、事業主は対策協力の努力義務、国民には過労死等を防止する重要性を自覚し関心と理解を深める努力義務)と定め(第4条関係)、 (1) 過労死等の防止のための対策に関する大綱の策定義務(第7条関係)、 (2) 過労死等の概要および政府が講じた施策の状況に関する報告書の国会提出義務(第6条関係)、 (3) 厚生労働省内における過労死等防止対策推進協議会の設置(第12・13条関係)、 (4) 過労死等防止啓発月間(11月)の設定(第5条関係)――などを規定している。

また、過労死等を防止するための対策として、(5) 過労死等に関する調査研究等の実施(第8条関係)、(6) 過労死等の防止の重要性に係る啓発(第9条関係)、 (7) 過労死等に関する相談体制の整備等(第10条関係)、 (8) 民間団体の活動に対する支援(第11条関係)――などを求めている。

今後、法案は27日の衆議院本会議に諮られる見通しで、参議院に送られた後、会期末(6月22日)までの成立を目指す。