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今後の社会保障改革の方向性に関する意見(概要)
−21世紀型の社会保障の実現に向けて−

社会保障改革の方向性

給付の在り方

 ○ 給付の在り方を考えるに当たっては、社会保障が本来果たすべきセーフティネ
  ットとしての機能を維持していくことを基本としつつ、負担の維持可能性等をあ
  わせ考え、給付全体の見直しと効率化を図っていくことが必要。

 ○ 少子化への対応という観点からも、今後、「高齢」関係給付の伸びをある程度
  抑制し、若い世代の負担の急増を抑えるとともに、次世代育成支援の推進を図っ
  ていくことが必要。こうした給付の見直しは、世代間の公平の確保のみならず、
  若い世代の理解を得ることにつながる。

 ○ 社会保障の総合化という観点から、年金を受給しながら長期に入所している者
  の居住費用の問題など、制度間の給付の重複について調整していくことが必要。

 ○ 疾病や失業等の若年世帯の生活リスクについて、年金、医療、介護等の制度と
  生活保護、手当、雇用施策、住宅施策等を組み合わせ総合的に対応していくこと
  も重要な課題。なお、生活保護については、今後、その在り方についてより専門
  的に検討していくことが必要。

負担の在り方

 ○ 我が国の2025年時点の社会保障負担の水準は、マクロの国際比較でも家計
  においても、必ずしも負担不可能な水準というわけではないが、今後の負担水準
  は、給付の在り方とともに、経済・財政とのバランス、世代間・世代内の公平性
  の確保等の観点もあわせ考え、国民に選択を求めていくことが必要。

 ○ その際、今後の高齢化等により急速な負担増が避けられない中で、不断に給付
  の見直しと効率化を進め負担増の抑制を図りながら、将来の負担水準に関する見
  通しと道筋を示し、国民に負担増に関する理解と納得を得ていくことが必要。

 ○ 社会保障制度は、社会保険方式を主体とし、財源については、保険料、公費負
  担、利用者負担の適切な組合せにより、確実かつ安定的なものとすることが必要
  であり、厚生年金等の保険料引上げの凍結措置は早期に解除することが必要。

 ○ 急激な人口変動に伴う負担増は、幅広い世代により支え合い、生涯を通じた負
  担の平準化を図るという観点から、保険料や税は、高齢者世代を含めた全世代が
  能力に応じて広く公平に負担を分かち合う方向で努力することが必要。基礎年金
  の国庫負担割合の引上げについても、こうした観点を踏まえて検討し、その道筋
  をつけるべき。

 ○ 国民一人一人の所得や資産には格差があり、こうした格差を踏まえたきめ細か
  な対応が必要。高齢者であっても所得や資産を有する者については応分の負担を
  求めていくべきであり、こうした観点から公的年金に対する課税の在り方につい
  て見直しが必要。

 ○ 低所得者対策については、これまで、各制度が必ずしも整合性のとれたものと
  なっておらず、今後、制度横断的な姿を示していくことが必要。

国民負担率をめぐる議論

 ○ 社会保障に関わる負担はこれと表裏一体の関係にある給付の在り方と併せて論
  ずべき。負担水準のみに着目するのではなく、社会保障給付の具体的役割やその
  持続可能性についても国民的な議論を行うことが必要であり、財政規律の考え方
  である「潜在的国民負担率」を社会保障のみと過度に関連づけて論じることは適
  当でない。

国と地方をめぐる議論

 ○ 社会保障施策のうち、住民の暮らしに密接に関連するサービス等については、
  地方分権の視点に立って見直しを進めることが必要。

 ○ 見直しに当たっては、今後、合併の進展等を踏まえて対応する必要があり、国
  と地方公共団体の機能を明確にしつつ、これらが重層的に連携するという観点か
  ら、国と地方の役割分担を整理することが適当。

 ○ 国と地方の負担の在り方については、サービスや給付内容に応じて適切に整理
  することが必要であり、高齢者介護分野のように事業の実施については地方の自
  主性を尊重しつつも、財源については、国と地方が持ち合うという整理も一つの
  考え方。

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