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(別添2)
「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」の概要
1 基本的な考え方
(1) 脳・心臓疾患は、血管病変等が長年の生活の営みのなかで、形成、進行及
び増悪するといった自然経過をたどり発症するが、業務による過重負荷が加
わることによって、血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・
心臓疾患が発症する場合がある。
(2) 「長期間にわたる疲労の蓄積」が脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼすこと
が考えられることから、業務による明らかな過重負荷として、脳・心臓疾患
の発症に近接した時期における負荷(異常な出来事及び短期間の過重負荷)
のほか、長期間にわたる業務による疲労の蓄積(長期間の過重負荷)につい
ても考慮すべきである。
(3) 評価の基準となる労働者は、発症した労働者と同程度の年齢、経験等を有
する健康な状態にある者のほか、基礎疾患を有するものの日常業務を支障な
く遂行できる労働者とすることが妥当である。
2 業務の過重性の総合評価
(1) 長期間にわたる過重負荷の考え方
イ 業務の過重性の評価は、疲労の蓄積が血管病変等をその自然経過を超えて
著しく増悪させ、脳・心臓疾患の発症に至らしめる程度であったかという
観点から、発症前6か月間における就労状態を具体的かつ客観的に考察し
て行うことが妥当である。
ロ 具体的には、労働時間、勤務の不規則性、拘束性、交替制勤務、作業環境
などの諸要因の関わりや業務に由来する精神的緊張の要因を考慮して、当
該労働者と同程度の年齢、経験を有する同僚労働者又は同種労働者であっ
て日常業務を支障なく遂行できる労働者にとっても、特に過重な身体的、
精神的負荷と認められるか否かという観点から、総合的に評価することが
妥当である。
ハ その際、疲労の蓄積の最も重要な要因である労働時間に着目すると、
(1) 発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められ
る場合、発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおお
むね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との
関連性は強いと判断される。
(2) 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、
a 1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない
場合は、業務と発症との関連性が弱く、
b 1か月当たりおおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなる
ほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると判断される。
ニ 労働時間以外の要因は、次のとおりである(具体的な内容は別添のとおり
である。)。
(1) 不規則な勤務
(2) 拘束時間の長い勤務
(3) 出張の多い業務
(4) 交替制勤務、深夜勤務
(5) 作業環境(温度環境、騒音、時差)
(6) 精神的緊張(心理的緊張)を伴う業務
(2) 異常な出来事や短期間の過重負荷
発症に近接した時期における業務による明らかな過重負荷が脳・心臓疾患の
発症の直接的原因になり得るとする考え方は、現在の医学的知見に照らし、是
認できるものであり、この考え方に沿って策定された現行認定基準は、妥当性
を持つものと判断する。
3 脳・心臓疾患のリスクファクター
脳・心臓疾患の発症には、高血圧、高脂血症、喫煙等のリスクファクターが
関与し、多重のリスクファクターを有する者は、発症のリスクが高いことから、
労働者の健康状態を十分把握し、基礎疾患等の程度や業務の過重性を十分検討
し、これらと当該労働者に発症した脳・心臓疾患との関連性について総合的に
判断する必要がある。
(参考) 対象疾病
業務による過重負荷によって発症する疾患として、「疾病、傷害および死因統
計分類提要」(「ICD−10」)に基づく疾患名で整理した。
なお、新たに追加、削除した疾患はない。
(1) 脳血管疾患
イ 脳内出血(脳出血) ロ くも膜下出血
ハ 脳梗塞 ニ 高血圧性脳症
(2) 虚血性心疾患等
イ 心筋梗塞 ロ 狭心症
ハ 心停止(心臓性突然死を含む。) ニ 解離性大動脈瘤
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