タイトル:中小企業で時短がやや進展

     年俸制採用企業が1割を超え、1,000人以上では1/4

     労働費用は退職金等の費用と厚生年金保険料が大幅に増加

     単身赴任者数30万人を超える



発  表:平成11年10月8日(金)

担  当:労働大臣官房政策調査部産業労働調査課

            電 話 03-(3593)-1211(内線 5248)

                03-(3502)-6729(夜間直通)





        −平成10年賃金労働時間制度等総合調査結果速報−



T 調査の概要

 1 この調査は、我が国の賃金制度、労働時間制度等の実態を明らかにするため毎年実

   施しているもので、平成10年は労働時間制度、賃金制度、労働費用及び福祉施設・

   制度について調査を実施した。



 2 調査の対象は、日本標準産業分類に基づく鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱

   供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及び

   サービス業の9産業に属し、本社の常用労働者が30人以上である民営企業(母集団

   数約118,000社)のうちから抽出した5,319社(回答企業数4,890社、回答率91.9%)

   である。



 3 調査対象期日は、平成10年12月末日現在である。ただし、年間データについては、

   平成10年1年間(又は平成9会計年度)とした。

 (注)

 1) 調査結果は、期間を定めずに雇われている常用労働者(パートタイム労働者は除

   く。)についてのものである。

 2) 統計表等に用いてある符号の意味は、次のとおりである。

   「M.A.」は、複数回答であることを示すもので、構成比の合計は100.0を超える場

   合がある。「−」印は、該当数値が得られないもの、「…」印は、調査を行ってい

   ないため数値が計上できない区分であることをそれぞれ示す。





U 調査結果の概要

 【骨子】

 1 労働時間制度

  (1) 週休2日制

    「完全週休2日制」採用企業数割合は35.2%で、前年に比べ1.6ポイント上昇、

   適用労働者数割合は59.2%。なお、「何らかの週休2日制」採用企業数割合は

   90.5%、適用労働者数割合は95.6%(第1図第1表第2表)。



  (2) 週所定労働時間

    週所定労働時間は1企業平均39時間23分で、前年に比べ8分短縮。規模別には、

   100〜299人39時間01分、30〜99人39時間36分で前年に比べそれぞれ9分短縮

   したが、1,000人以上では38時間32分で3分拡大。また、労働者1人平均で38時

   間45分(第2図第3表第4表)。    



  (3) 年間休日総数

    年間休日総数は1企業平均104.1日で、前年に比べ0.6日増、労働者1人平均

   112.4日(第6表)。



  (4) 年次有給休暇

    年次有給休暇の付与日数(繰越日数を除く。)は労働者1人平均17.5日、うち労

   働者が取得した日数は9.1日、取得率は51.8%(第7表)。



  (5) 変形労働時間制

    変形労働時間制の採用企業数割合は54.8%と初めて5割を超えた前年(54.4%)

   とおおむね同じ割合。内訳は「1年単位の変形労働時間制」34.3%、「1ヵ月単位

   の変形労働時間制」17.5%、「フレックスタイム制」5.1%(第3図第8表)。 



  (6) みなし労働時間制

    みなし労働時間制の採用企業数割合は8.0%(前年8.9%)。内訳は「事業場外労

   働のみなし労働時間制」7.2%(前年8.3%)、「裁量労働のみなし労働時間制」

   2.1%(前年1.4%)(第12表)。 



  (7) 所定内深夜労働

    所定内深夜(午後10時〜午前5時)労働がある企業数割合は33.1%で、交替制勤

   務の所定内深夜労働がある企業数割合は20.3%、交替制勤務以外で所定内深夜労働が

   ある企業数割合は14.9%(第4図第15表)。





 2 賃金制度

  (1) 賃金体系

    定期昇給制度のある企業数割合は86.0%。定期昇給額の決め方は約9割の企業

   で考課査定があり、「全額自動決定」とする割合は低い(第18表)。



  (2) 賃金形態

    「年俸制」を採用している企業数割合は12.3%。1,000人以上では25.6%と平成

   8年に比べ9.7ポイント上昇(第5図第19表)。





 3 労働費用

  (1) 労働費用総額 

    平成10年の「労働費用総額」は常用労働者1人1ヵ月平均 502,004円で、平成

   7年に比べ3.9%増。内訳は、「現金給与総額」409,485円、「現金給与以外の労

   働費用」92,519円で、平成7年に比べ、それぞれ2.2%増、12.3%増。「労働費用

   総額」に占める「現金給与総額」の割合は81.6%、「現金給与以外の労働費用」は

   18.4%(第6図第21表第22表第23表)。 



  (2) 現金給与以外の労働費用

    現金給与以外の労働費用の内訳は、「法定福利費」46,868円、「退職金等の費

   用」27,300円、「法定外福利費」13,481円。平成7年に比べそれぞれ9.4%増、

   32.7%増、1.5%減。「法定福利費」のうち「厚生年金保険料」が14.7%増(第7図、

   第25表第26表)。 





 4 派遣労働者受入れ関係費用

   派遣労働者受入れ企業数割合は20.3%(前回平成7年調査15.0%)、1,000人以上

  では53.1%。1人1ヵ月平均派遣労働者受入れ関係費用は296,551円(第29表)。 





 5 福祉施設・制度

  (1) 企業の福祉施策

    施策の種類では、「健康維持・増進対策」を導入している企業数割合が最も高く

   39.8%(第10図第30表)。 

    今後3年間では、「介護援助施策」、「健康維持・増進対策」、「自己啓発援助

   制度」などを導入・拡充予定の企業数割合が高い(第30表)。



  (2) 通勤関連施策

    現在、通勤関連施策を導入している企業数割合は17.7%と、前回調査(平成6年

   調査13.6%)に比べ4.1ポイント上昇。今後3年間に導入を予定している企業数割

   合は7.8%で、内訳は「フレックスタイム制」5.6 %、「時差通勤」3.0%など(第11図、

   第31-1表第31-2表)。



  (3) 有配偶単身赴任者対策

    転居を必要とする人事異動がある企業数割合は28.1%で、前回(平成6年調査 20.2    

   %)に比べ7.9ポイント上昇。有配偶単身赴任者(以下、単身赴任者という。)がいる    

   企業数割合は19.1%で、前回(同15.9%)に比べ3.2ポイント上昇。                    

    平成10年12月末日現在の単身赴任者総数は314,100人(同254,000人)と30万人を

   超え、前回に比べ約6万人増加(第32表)。                                           

    転居を必要とする人事異動がある企業のうち「単身赴任者に対する援助制度がある」   

   企業数割合は92.0%。援助制度の種類別には「赴任地における住宅・寮等の提供」69.9   

   %、「別居手当の支給」58.9%、「一時帰宅旅費の支給」58.5%などの順(第33表)。


V 調査結果



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