タイトル:平成9年産業労働事情調査結果速報

     アウトソーシング等業務委託の実態と労働面への影響に関する調査

発  表:平成10年3月25日

担  当:労働大臣官房政策調査部

         電 話 03-3593-1211(内線5667、5243)

             03-3502-6729(夜間直通)






−業務委託の効果は「専門知識・技術・人材の不足の補充」(約5割)と「人件費の削

減」(約3割)が主流 委託の導入に伴い配置転換等を行った企業は約4割−





T 調査の概要

 この調査は、近年我が国の企業において、国際競争の激化等の厳しい経営環境の中

で経営の効率化と収益拡大を図るため、いわゆるアウトソーシング等の業務委託を導

入する企業が増えているといわれていることから、その実態と自社での業務削減など

に伴う労働面への影響等の実態を明らかにするため実施したものである。

 調査対象は、日本標準産業分類に基づく建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水

道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業

に属する常用労働者30人以上を雇用する民営企業のうちから無作為抽出した約 4,500

企業(有効回収率86.0%)を対象に、平成9年8月末現在の状況について調査した(

委託業務及び業務の分類については、<参考>を参照)。





U 調査結果の概要

 【骨  子】

1.業務委託の導入状況

 業務の処理を他企業へ委託(外注や請負等を含む)している企業は約半数となって

いる。規模別にみると、規模が大きいほど導入割合は高く、1,000人以上規模では8割

に近い。



2.委託している業務

 委託している業務は、製品の製造・加工・組立や建設工事などの「製造、建設」業

務が約5割、配送などの「物流」業務が約4割、機械・設備の点検整備などの「機器

点検・保守」業務が約4割等と従来型の委託が多いが、「情報処理・システム開発」

業務も2割を超えている。



3.委託の開始時期

 委託の開始時期をみると、平成2年以前に開始しているものが8割以上あるが、業

務別にみると、「人事管理」、「教育訓練・研修」、「福利厚生」、「情報処理」、

「営業・販売」、売場案内・託児サービスなどの「対個人サービス」業務では、他の

業務に比べ、平成3年以降の導入割合が高くなっている。また、規模が大きいほど平

成6年以降の導入割合が高くなっている。



4.平成3年以降の委託による組織面、労働面への影響等

(1)委託効果

 委託導入企業のほぼすべてで委託効果があり、その内容は「専門的知識・技術・人

材の不足の補充」、「人件費の削減」、「業務量の変動に対する弾力的な対応」等の

割合が高くなっている。

(2)組織の再編成等

 委託の導入に伴い組織の再編成を行った企業は5割強となっている。そのうち、組

織の廃止又は変更を行った企業は約4割、新たに窓口等の組織を設置した企業は約1

割となっている。

(3)労働者の配置転換等

 委託の導入に伴い労働者の配置転換等を行った企業は約4割あり、そのうち自社内

での配転が約6割、委託先への出向・転籍が約3割となっている。1,000人以上規模で

は委託先への出向が約6割と高い割合となっている。

(4)労働者数への効果

 企業全体の労働者数に与えた効果をみると、約半数が「増加とも減少ともいえない

」で、減少効果があった企業は約2割となっている。規模が大きいほど「減少効果」

を挙げている割合が高い。



5.今後の業務委託の方針

今後、委託業務を「積極的に利用」する企業は約1割で、規模が大きいほどその割合

が高い。「現状程度」とする企業は約4割となっている。



6.業務受託の状況

(1)受託状況

 他企業から業務の処理を受託している企業は2割強となっている。

(2)開始時期

 平成6年以降に受託を開始した業務では、「教育訓練・研修」、「経理」、「研究

開発・設計」業務の割合が他の業務に比べ高くなっている。

(3)業務量の変化

 3年前と比べた受託業務量の変動状況をみると、業務量が「増加」した企業が約4

割で、「増加」したが「減少」を上回っている企業が多い。





V 調査結果








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