III 調査結果
1 学歴別にみた初任給 (1) 平成12年の初任給を高卒以上の学歴別にみると、
男女計は、 | 大 卒 | 193,700円 | (対前年比 −0.3%) | |
高専・短大卒 | 165,900円 | ( 〃 0.6%) | ||
高 卒 | 153,100円 | ( 〃 −0.3%) | ||
となっており、これを男女別にみると、 | ||||
男性では、 | 大 卒 | 196,900円 | ( 〃 0.2%) | |
高専・短大卒 | 171,600円 | ( 〃 0.8%) | ||
高 卒 | 157,100円 | ( 〃 −0.3%) | ||
女性では、 | 大 卒 | 187,400円 | ( 〃 −0.7%) | |
高専・短大卒 | 163,600円 | ( 〃 0.9%) | ||
高 卒 | 147,600円 | ( 〃 −0.5%) |
男女計では、高専・短大卒が前年を上回っており、大卒と高卒は前年を下回っ ている。変化はいずれも1%未満の小幅にとどまっている。男女別では、男女と もに高専・短大卒はわずかながら上回っているものの、高卒が前年を下回ってお り、男性の高卒の伸び率は初めてマイナスとなり、女性の大卒の伸び率は昭和 51年の調査開始以来最大のマイナスとなった(第1表、第2表)。 平成8年以降の5年間について初任給の伸び率をみると、男女ともに1.5% 未満の低い水準で推移している(第2表、第1図)。 (2) 初任給の学歴間格差(大卒=100)を男女別にみると、男性は高専・短大卒 が87、高卒が80、女性は高専・短大卒が87、高卒が79となっている。 この5年間では、大卒と他の各学歴との格差は、男女とも明確な拡大傾向や縮 小傾向はみられず、ほぼ横ばいとなっている(第2図)。 2 企業規模別にみた初任給 (1) 企業規模別の初任給をみると、男女計は、大卒では大企業(常用労働者1,0 00人以上)と中企業(同100〜999人)が19万円台、小企業(同10〜 99人)が18万円台、高専・短大卒では各規模とも16万円台、高卒では各規 模とも15万円台となっている。 これを男女別にみると、男性は、大卒では各規模とも19万円台、高専・短大卒 では各規模とも17万円台、高卒では各規模とも15万円台となっている。一方、女 性は、大卒では大企業18万円台、中企業19万円台、小企業17万円台、高専・短 大卒では大企業と中企業が16万円台、小企業15万円台、高卒では大企業15万 円台、中企業と小企業が14万円台となっている。 また、男女とも大卒と高専・短大卒では大企業と中企業で前年を上回り、小企業 で下回っている。高卒では女性の大企業を除き男女各規模とも前年を下回ってい る(第3表)。 (2) 初任給の企業規模間格差(大企業=100)を男女別にみると、男性は、中企業 98〜101、小企業97〜101と、各学歴ともほとんど格差はみられないが、 高卒で中企業101、小企業101と大企業より初任給がやや高くなっている。 女性は、中企業97〜104、小企業93〜98と、各学歴の格差は男性と比べ るとやや大きくなっており、中企業では大卒103、高専・短大卒104と大企業よ り初任給がやや高く、小企業では高卒93と最も格差が大きくなっている。 また、女性の大卒と高専・短大卒では中企業、男性の高卒では中企業と小企業 で大企業を上回り、男性の高専・短大卒では小企業が中企業を上回るという逆転現 象がみられる(第4表)。 3 産業別にみた初任給 (1) 主要産業別の初任給をみると、男女計は大卒では製造業が高く196,900円、 高専・短大卒と高卒では建設業が高く、それぞれ177,700円、162,600 円となっている。一方、低いのは、各学歴とも金融・保険業で、大卒181,200 円、高専・短大卒151,300円、高卒141,800円となっている。 これを男女別にみると、男性は、大卒ではサービス業が高く198,900円、高 専・短大卒と高卒では建設業が高く、それぞれ183,100円、163,800 円となっている。一方、低いのは、各学歴とも金融・保険業で、大卒186,300 円、高専・短大卒165,600円、高卒145,900円となっている。 女性は、大卒と高専・短大卒ではサービス業が高く、それぞれ191,400円、16 6,100円、高卒では運輸・通信業が高く156,900円となっている。一方、低い 方は、男性同様に各学歴とも金融・保険業で、大卒175,400円、高専・短大卒1 51,100円、高卒141,600円となっている(第5表)。 (2) 初任給の産業間格差(製造業=100)を男女別にみると、男女各学歴ともに 金融・保険業を除くと格差は小さく、女性の高専・短大卒では各産業で製造業を 上回るようになり、男性も同様の傾向にある。 また、男性は高専・短大卒と高卒の建設業が製造業より高く、女性は高卒の 運輸・通信業、高専・短大卒と高卒の卸売・小売業,飲食店が製造業より高くな る傾向がみられる(第6表)。 4 初任給の分布 (1) 初任給の分布をみると、男女計は、大卒では19万円台に26.7%、20万円 台に24.1%と19、20万円台で5割を超えており、高専・短大卒では16万円 台に25.9%、15万円台に18.2%、17万円台に17.8%と15〜17万 円台で6割を超え、高卒では15万円台に29.8%、16万円台に20.4%と 15、16万円台で5割を超えている。 これを男女別にみると、男性は、大卒では19万円台に29.9%、20万円台に 27.6%と19、20万円台で5割を超えており、高専・短大卒では17万円台に 23.8%、16万円台に22.8%、15万円台に14.8%と15〜17万円台 で6割を超え、高卒では15万円台に31.2%、16万円台に26.2%と15、 16万円台で5割を超えている。 女性は、大卒が19万円台と17万円台がともに20.1%、20万円台に17.2 %、18万円台に15.7%と17〜20万円台で7割を超えており、高専・短大卒 では16万円台に27.2%、15万円台に19.7%、17万円台に15.3%と 15〜17万円台で6割を超え、高卒は15万円台に27.8%、14万円台に 22.4%と14、15万円台で5割を超えている(第7表)。 (2) 初任給の散らばりの度合いを十分位分散係数でみると、男性より女性のほうが やや散らばりが大きく、男性の高専・短大卒が他の男女・学歴と比べてやや大きく 散らばっている(第7表)。
附属統計表第1表 企業規模、性、学歴別初任給額の推移(産業計)
附属統計表第2表 産業、性、労働者の種類、学歴別初任給額(企業規模計)
附属統計表第3表 都道府県、性、学歴別初任給額及び格差(産業計、企業規模計)