ネットワークと階層性

要約

石田 光規(早稲田大学教授)

ネットワークと格差については、その関連が想起される一方で、一連の議論の体系的整理は、これまであまりなされなかった。本論文では、「格差」を導きの糸として、これまで展開されてきたネットワーク研究を整理し、それを踏まえ、今後、検討すべき研究視座を提供する。まず、格差論と密接な関係にある地位達成研究に焦点をあて、ネットワークが高い地位や収入の獲得にどの程度影響するのか検討する。次に、諸個人の保持するネットワークそのものの格差性、同類結合と格差拡大の可能性について検討する。具体的に提示されるのは、以下の論点である。地位達成研究からは、ネットワークが格差要因として強い規定力をもつ傾向は見られない。しかしながら、現在社会の状況に鑑みると、ネットワークは以下の点で格差に寄与しうると考えられる。第一に、個人化してゆく社会では、関係の自由選択化が進むため、友人関係に恵まれる人、恵まれない人の差が拡大する。いわば関係格差といった状況が生じる。第二に、自由選択の中での同類結合は、人びとの業績的同類結合を強めるため、それが生活面での格差をもたらす可能性がある。以上の点を踏まえると、今後、格差の視点を取り入れながら、諸個人のネットワークのありよう、および、その効果を検討する必要性は高い。

2018年1月号(No.690) 特集●格差と労働

2017年12月25日 掲載