管理職への到達をめぐる不平等─世代間移動と職業キャリアの視点から

要約

竹ノ下 弘久(慶應義塾大学教授)

本研究は、戦後の階層研究が長年関心をもってきた階層移動について、マクロな諸制度がそれらをどのように枠づけ影響を及ぼしているのか、管理職に注目して明らかにする。先行研究は、階層移動と制度との関わりについて、出身階層から到達階層へと到る階層移動を家族と教育の不平等、学校から職場への移行、労働市場におけるキャリアへと分節化し、それぞれの局面における制度の役割を明らかにしてきた。本研究は管理職を事例に、個々の局面に分節化されてきた階層移動研究をつなぎ合わせ、日本における教育と労働市場の諸制度が、管理職へといたる階層移動の全体にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする。具体的には管理職の場合、組織内部での技能形成、キャリアの蓄積やその結果としての昇進が、考慮すべき重要な要件となる。そのため、大企業中心に形成された企業を基盤とする内部労働市場や、大企業と中小企業における格差、二重構造が、管理職への移動に大きく影響する労働市場の制度として注目すべきである。内部労働市場を基盤とする諸制度は、新卒一括採用や採用選考時に求職者の出身学校をスクリーニングのために重視するなど、日本の学校から職場への移行のあり方も大きく枠づけてきた。本研究では、このような諸制度が、管理職への到達をめぐる世代間移動と世代内移動との間にどのような関わりを有するのかを明らかにする。

2018年1月号(No.690) 特集●格差と労働

2017年12月25日 掲載