総合職の制約社員化と人事管理

要約

今野 浩一郎(学習院大学名誉教授)

わが国の伝統的な人事管理は、基幹業務につき、管理職へのキャリアを歩むことが期待されている総合職は、働き方に制約のない社員(無制約社員)であることを前提に作られてきた。しかし、制約のある働き方をする社員(制約社員)を希望する総合職が増えつつあり、企業はいま、この「総合職の制約社員化」への対応に迫られている。本論は、まず限定正社員制度を通して正社員がどの程度制約的な働き方を希望し、制約的に働いているのかを、また、企業、総合職が「総合職の制約社員化」の問題をどのように認識し、それにどのように対応すべきと考えているかを明らかにしている。とくに後者に関連して、総合職は無制約社員であるという人事管理の基本骨格は維持したうえで、それに、生活上の都合を配慮して制約的に働きながら基幹業務を担うことができる制度を組み合わせることが改革の方向とされている。さらに改革の具体的な方向を明らかにするために、企業がいま進めている人事改革の動きを整理したうえで、総合職に対応する社員区分の特質の観点から、「総合職の制約社員化」に対応する人事管理を5つのタイプに類型化している。こうした現状分析を踏まえたうえで、5つのタイプのなかで制度改革の一つの到達点と考えられるタイプの人事管理を設計するさいに重視すべきポイントと、そこで考えられる政策の選択肢を提示している。それらは企業が「総合職の制約社員化」に対応する人事改革を進めるさいの、また、人事改革の研究が行われるさいの準拠する枠組みになる。

2017年12月号(No.689) 特集●雇用共働き化社会の現在

2017年11月27日 掲載