共働き夫婦の家事・育児分担の実態

要約

久保 桂子(千葉大学教授)

1990年代後半には、雇用者世帯において専業主婦世帯数を共働き世帯数が上回り、政策的にも男性も家事・育児に積極的に参加することが目指されてきたが、現実にはなかなか進まない。本稿では、夫の家事・育児分担を促進するための要因を整理し、さらに、家事・育児項目ごとに夫の分担状況を検討する。本稿の分析に用いるデータは、2013年に千葉県の保育園児の保護者を対象に行った調査データである。主な結果は以下のとおりである。妻が非正規よりも正規雇用の夫の方が、そしてジェンダー平等意識を持っている夫の方が、家事も育児も頻度が高い。一方、夫の労働通勤時間が長い方が、家事も育児も頻度が低い。夫と妻の家事と育児頻度の関係は、食事の後片づけや入浴の世話などの代替しやすい項目で妻の頻度が低い方が夫の頻度が高い関係が認められる。一方、子どもの遊びや話しの相手の項目は、夫の頻度と妻の頻度に代替関係はなく、夫の頻度が高くても妻の頻度には影響しない。妻の就業形態別に各項目をみると、食事の後片付け、洗濯・衣類の整理などの正規雇用の妻の頻度が低い項目で、その夫の頻度が高い傾向にあり、正規雇用の妻と夫の代替関係が強い傾向がうかがえる。労働時間との関係では、食事の準備などの従事する時間に裁量の余地のない家事や、育児のような時間消費的な活動では労働通勤時間の長い夫の頻度が低い傾向にあり、時間的に裁量の余地のある家事では影響が少ない。家族との時間は量だけではなくタイミングも重要であり、労働者の日々の時間配分の自律性を高めることが重要である。

2017年12月号(No.689) 特集●雇用共働き化社会の現在

2017年11月27日 掲載