アスリートの組織化――選手会をめぐる世界的動向と日本の課題

要約

川井 圭司(同志社大学教授)

プロ野球、Jリーグに続き、我が国では、B.LEAGUE、四国アイランドリーグplus、BCリーグ、日本女子プロ野球機構などの新興プロリーグが発足している。また、ラグビー界においても、2割程度のプロ選手が存在している。これらの選手は集団的労働法の下での労働者性が認められる傾向にあるものの、個別的労働法上の労働者性は否定される取り扱いがなされている。国際的には、サッカー、野球、バスケットボール、ラグビーなどいわゆるチームスポーツについては、集団的労働法および個別的労働法の双方について労働者性を認めることにより、あるいはスポーツに特化した立法により、アスリートに明確な法的地位が与えられている。また、近年では各スポーツの制度設計にかかわる意思決定へのアスリートの関与を大幅に認める潮流がある。欧米のプロスポーツでは、労働法制における団体交渉の枠組みを基礎として、従来の規定の見直しや新たな制度設計が合議に基づいて決定されている。このことは、労働者の権利保障という意義にとどまらず、リーグ、あるいは競技連盟側にも大きなメリットをもたらすことになる。スポーツ界特有の制度について、労使の自治において正統な意思決定が保障される限り、司法介入が抑制され、安定的運営が可能になる。そして何より意思決定への関与から生まれる当事者の納得こそが、健全な発展の淵源となるからである。

2017年11月号(No.688) 特集●スポーツと労働

2017年10月25日 掲載