部活動顧問教師の労働問題――勤務時間・手当支給・災害補償の検討

要約

中澤 篤史(早稲田大学准教授)

学校部活動に従事する顧問教師は、どのような労働問題に直面しているのか。その問題を解決するために、今後どうすれば良いのか。日本の青少年スポーツの中心は、地域のクラブではなく、学校の部活動である。その部活動の指導と運営は、顧問を務める教師によって担われている。しかし部活動は、今日、その持続可能性が危ぶまれている。なぜなら、顧問教師の負担が、かつてないほどに大きくなり、社会問題化してきたからである。政策的な対応が矢継ぎ早に取り組まれつつある中、顧問教師の労働問題は、早急に解決が求められるべき、きわめてアクチュアルなテーマとなっている。そこで本稿では、教育学・体育学領域の先行研究の動向を踏まえながら、部活動の法制度的な位置づけを確認した上で、顧問教師の労働問題の代表例である、勤務時間・手当支給・災害補償の問題を、法律・実態・裁判の観点を組み合わせながら検討した。その結果、いずれの問題においても、法律的なロジックと学校現場の実態には大きな乖離があり、教師は苛酷な勤務状況を強いられていることが明らかになった。さらに裁判結果を見ても、そうした状況が十分かつ適切に救済されるとは限らないことを指摘した。以上から、今後の問題解決のための論点として、部活動の規模を見直すこと、労働の論理を入れること、職員会議を活用することの3点を提起した。

2017年11月号(No.688) 特集●スポーツと労働

2017年10月25日 掲載