社会人の学び直しからみた大学教育

要約

塚原 修一(関西国際大学客員教授)

濱名 篤(関西国際大学学長)

日本の大学における社会人の学び直しについて、主に以下のことを述べた。(1)高等教育機関の社会人学生は11万人、このうち大学等は5万人である。社会人学生が多いのは、通学制の大学院の博士課程と専門職学位課程、通信制の大学・大学院である。国際的な平均からみて日本は低調である。(2)社会人学生、企業等、大学等などを対象とした社会調査によれば、社会人学生が大学で学ぶべきものは専門知識である。しかし、その内容、教育方法、教育環境については意見がわかれた。社会人学生は卒業資格を評価する仕組みを企業等に求めているが、それをもつ企業等は少ない。(3)大学等の制度をみると、専門職大学院では社会人学生の就労経験が学習成果を高めていたが、近年は学士課程から直接の進学者が増加している。職業実践力育成プログラムでは、主に履修証明プログラムと修士課程について、社会人学生が受講しやすい工夫をしたものが提供されていた。とくに前者は1年ほどの短期であり、個別のプログラムの規模は大きくないが今後の発展が期待できる。専門職大学は、入学時に進路を強く規定する性質がある。入学に先立つキャリア教育や進路の熟慮が求められ、その意味では進学前に一時的に社会を体験するストップアウトが有効と考えられる。最後に大学教育の2つの特徴が社会人の学び直しの普及にかかわることを指摘し、今後の動向にふれた。

2017年10月号(No.687) 特集●大学教育の「実践性」

2017年9月25日 掲載