障害者雇用進展期の雇用管理と障害者雇用促進法の合理的配慮

要約

眞保 智子(法政大学教授)

近年、障害者雇用が急速に進展した企業の現場では、常に雇用環境の変化への対応に追われてきた。企業が2000年代の法制度改正等への対応を行うにあたり、どのような障害者を雇用し、安定的な就労のためにどのような雇用管理を行ってきたのか、通常公表されないデータである個別企業の雇用率の動向、離職率あるいは定着率を公表することを許可してくれた企業の事例で見ていく。日本企業が障害者雇用を行おうとする理由として、法令遵守(すなわち障害者法定雇用率を達成すること)と企業の社会的責任(CSR)を果たすことが重視されている。グループ企業の雇用率を達成することがミッションである特例子会社においては、法制度改正に対応して、複数人を採用するために新たな仕事を受注し、その仕事を担うことができるようにOJTにより能力開発を行い人材育成している。また、定着を高めるために、丁寧な個人別管理がなされている。この個人別管理が合理的配慮提供への鍵である。今後の課題として、第一に、障害者雇用を行う事業所への障害のある従業員の個人別管理手法の普及、第二に、雇用管理上必要な措置を講じられる相談体制の構築をあげる。最後に第一、第二と関係するが、改正法では紛争解決のスキームが示されている。しかし、障害のある従業員との紛争を未然に防ぐ体制の構築が重要で、それがそのまま障害のある従業員が働きやすい職場を作ることにつながる。

2017年8月号(No.685) 特集●障害者雇用の変化と法政策・職場の課題

2017年7月25日 掲載