マクロショックが地域の雇用の変化に果たす役割

要約

玉田 桂子(福岡大学経済学部教授)

本論文では、就業者数の変化率を全国共通のショックと海外からのショック、地域固有のショックに分解した。日本の失業率の推移を見ると、長期にわたって失業率の高い地域と低い地域が観察される。これらの地域間の失業率のばらつきは様々なショックから生じたものであると考えられるが、どのようなショックがどの程度失業率の変動を説明しているのかはデータのみからは特定できない。仮に地域固有のショックがショック全体のほとんどを説明しているのであれば、地域毎の雇用政策を採ることが望ましいと考えられる。分析に当たって1983年第2四半期から2016年第4四半期までの『労働力調査』の就業者数のデータを用いて日本の9つの地域を対象とし、状態空間モデルを用いて推定を行った。分析の結果、期間全体で全国共通のショックがショック全体を説明している割合は最大でも北関東・甲信で24%、最も低い南関東で2%であり、四半期毎に全国共通のショックが占める割合を推定しても、一時的に東海で50%近くを説明しているほかは0.1%から20%とその割合は非常に低い。また、海外からのショックの割合も5%以下と、地域固有のショックがショック全体のほとんどを説明していることが示された。以上より、日本においては就業者数の変化率は地域固有のショックでほとんどが説明でき、全国共通の雇用政策より地域別の雇用政策を採ることが望ましいと考えられる。

2017年6月号(No.683) 特集●マクロ的な視点から読み解く労働問題

2017年5月25日 掲載