雇用契約期間不明に関する考察

要約

玄田 有史(東京大学社会科学研究所教授)

本論文は、雇用契約期間の不明が労働者に及ぼす影響と不明に至る背景を考察した。

労働基準法は契約期間の書面での明示を使用者に義務付けている。だが実際は契約期間が「わからない」雇用者は多く、正社員以外では約2割が期間不明である。リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」(2016年)からは、正社員以外の学卒雇用者のうち、期間不明は賃金、知識・技術の習得機会、仕事満足度などで劣ることが明らかとなった。さらに女性、独身、若年、低学歴層、中学時の成績下位層で、期間不明になりやすい傾向もみられた。加えて小規模企業や、社会的認知の低い「その他」業種でも、期間不明は頻繁に生じていた。

一方、職場に労働者の利益を代表し企業と交渉する組織がある他、専門的な知識を有する仲介者を通じて入職した場合、期間不明は回避されやすい。安定的な就業機会の拡大と正社員以外の待遇改善には、期間不明を解消する諸方策の推進が求められる。

キーワード
労働経済、労働条件一般、パート・派遣労働問題

2017年2・3月号(No.680) ●論文(投稿)

2017年2月27日 掲載