論文要旨 中高年ホワイトカラー系IC(インデペンデント・コントラクター)のキャリア類型

遠藤 彰彦(法政大学大学院経営学研究科修士課程修了)

中高年者の転職が年々厳しさを増す中で“雇われない、雇わない”という就業形態を選択した中高年ICは、ここ数年急激ではないものの増加傾向にある。今回、ICの中でもホワイトカラー系といわれる士業者やコンサルタントを対象に30名のアンケート調査と補足として18名への聞取り調査を行った。そして分析の結果、以下の特徴が明らかになった。

(1)「自由に仕事をしたい」「時間や気持ちのゆとり」「社会の役に立ちたい」を求めてICを選んだ人が多い、(2) 若くして独立したICはサラリーマン経験が浅いものの、この時期に身に付けたスキルに自信をもち、キャリアの連続性が高い。これに対し中高年独立者は数十年間にわたり蓄積してきた技術や知識の一部を活用するものの、むしろそれらを捨ててまで新たに資格を取得したり、学び直しをしてスペシャリストを目指すなど過去のキャリアとの連続性が低い、(3) 高年齢独立者は独立後の事業収入は前職と比べて大幅に下がっているが、退職金など資金的な裏付けがあり、生活上の困窮はみられない。見方を変えれば、資金的余裕があってICという働き方を選択できたとも言える、(4) 人的ネットワーク(人脈)は事業継続の鍵である。その一方で営業や人脈づくりが苦手という事例が中高年独立者層に多く見られた、(5) ICになって良かった、成功しているという実感は「収入満足度」によるところが最も影響し、次いで仕事のやり甲斐などの「仕事満足度」である。

2012年特別号(No.619) 自由論題セッション●Bグループ

2012年1月25日 掲載