資料シリーズ No.186
ヨーロッパの育児・介護休業制度

平成29年3月31日

概要

研究の目的

育児・介護休業法で法制化されているものの利用者の少ない男性の育児休業および介護休業等の仕事と介護の両立支援制度について諸外国の実態を調査する。

研究の方法

ヒアリング調査、アンケート調査

主な事実発見

  1. 父親の育児休業取得率が高いヨーロッパ4カ国に比べて、日本の休業制度は、家族にとって父親が取得しないと保育の担い手のない期間が生じる設計になっていないこと、また休業給付が低率であることから、父親の取得のインセンティブが低い可能性が示唆される。
  2. 改正が相次いだドイツ介護保険制度では在宅介護を優先する原則が維持されており、介護手当に一定の意義が認められる。
  3. こうした在宅介護優先原則のもと、ドイツでは仕事と介護の両立を目的とした介護休業法制の改正と整備を進めている。
  4. イギリスには、介護のための長期的な休暇の権利はない。一方で、介護を含むワーク・ライフ・バランス支援として、働き方の柔軟性をより認める方向に進んでいる。加えて、介護者側のニーズ調査や介護者自身が支援を受ける権利を認めるなど、介護者の立場に立った施策を進めている。

政策的インプリケーション

  1. 父親の育児休業取得率を高めるためには、給付率の上昇に加えて、父親の取得の義務化、または家族にとっての父親の育児休業取得の必要性を高める制度設計が求められる。
  2. 在宅介護優先のために、被保険者およびその家族への相談援助が必要となる。
  3. 介護のため労働時間を削減した場合の所得保障が、介護離職を抑制し、仕事との両立を支える一つの方策ともなり得る。
  4. 家族等を介護するための長期的な休暇制度の整備ではなく、労働者の働き方(勤務制度)改善に重点を置くことが働く介護者のワーク・ライフ・バランスをより一層支え得るという視点も有効である。また、今後は、介護者であるからこそ保護されるべき法的権利があるという観点も検討の必要があり得る。

政策への貢献

今後の均等行政・両立支援行政のあり方を検討するための基礎資料になりうる。

本文

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研究の区分

研究期間

平成26年度

研究担当者

池田 心豪
労働政策研究・研修機構 主任研究員

執筆担当者

中里 英樹
甲南大学 教授
川久保 寛
神奈川県立保健福祉大学 講師
山本 陽大
労働政策研究・研修機構 研究員
藤井 直子
長崎大学 助教

関連の研究成果

入手方法等

入手方法

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お問合せ先

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研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ
ご購入について
成果普及課 03(5903)6263

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