資料シリーズ No.53
成果主義賃金制度の日韓比較

平成 21 年 4月 8日

概要

日本では、90年代初めのバブル経済崩壊と長期不況などの環境変化を背景に、多くの企業で成果主義人事制度が導入されましたが、2000年代に経済が回復し、企業業績が上向く中で、成果主義を見直す動きも出ています。一方、韓国においても97年の金融危機を契機に、各企業が年功序列的な人事労務管理から成果主義人事制度への転換をはじめ、急速に広がっています。両国のこうした状況を踏まえ、当機構と韓国労働研究院(KLI)は2006年から成果主義賃金制度に焦点を絞って共同で比較研究を行うことにしました。

当機構では既に、日本企業の成果主義人事制度の実態を把握するための研究を進めており、2006年にはその成果の一部を公表しています(注)。そこで、比較研究をするに当たり、当機構の研究成果を踏まえて行うことで合意、討論を重ねながらKLI側が韓国企業を対象とした調査を実施することとしました。

日韓両国の企業の成果主義賃金制度を比較すると、2つの点で大きな違いがあります。1つは、成果主義を導入するに当たって、日本企業は従業員が同制度に対する認識を深めるための説明を重ね、従業員の意見を一部採り入れながら2年以上の時間をかけたのに対し、韓国企業は短期間に導入したことです。2点目は、業績評価に基づく「賃金の格差」に対する取り扱いです。両国企業ともに、制度上は評価の高い者と低い者の賃金に一定の「格差」をつけることにしていますが、韓国企業は制度で決めた「格差の幅」を実際の運用上もそのまま適用している割合が多いのに対し、日本企業では制度上の「格差の幅」が実際に支給される賃金の「格差の幅」と必ずしも一致しておらず、「格差の幅」が運用上は縮小されています。

本報告書に収めた論考は、共同研究「成果主義賃金制度の日韓比較」に関してKLIがとりまとめた2つの報告書『主要国の賃金体系の実態と含意(韓国編)』および『成果主義賃金制度の日韓比較研究』の主要部分を翻訳したものです。下記に掲げた当機構の報告書をあわせてお読みいただければ成果主義賃金制度の日韓比較がより理解していただけると考えております。

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